世の中の右と左そしてうしろ 暗がりで笑う人をみたときや 銀行のATMで現金を取り忘れたときに なんとなく読むブログ
カテゴリー:パンク
謎に包まれた一枚。
奇怪なニューウェイヴ・パンクだろうか? 日本のゼルダに近い雰囲気もある。
なんか農場の納屋で練習したとか書いてあったけど、もっと都会的な香りもしなくもない。
完全に歴史に埋没してしまっているバンドであるが、そのまま放っておくのももったいない魅力があるので、どこかで彼らの音源に触れることがあったら聴いてみてほしい。
決して絶賛できるようなものでもないし、かといって見過ごすにはもったいない、なんとも不思議な音楽である。
79年ぐらいのパンクの薄暗さを求めているならば、これは一つのテキストとしてもってこいのアイテムであるかもしれない。
以前「牛若丸~」について書いたけど、こっちについて書いてなかったので書いてみる。
結局私は「牛若丸~」を貧困のために下北沢ディスクユニオンに売り飛ばしたわけであるが、こちらの方もだれか知人に貸したまま行方不明だったりする。
ただ、死ぬほど聴いたアルバムであるし、思い入れは半端じゃない。
よく言われる「ポップすぎる」「音が歌謡曲みたいだ」などという意見はどうだっていいと思う。北田氏のギターに町蔵の声が乗っかればそれでINUなのだから、不平をもらしてはいけないだろう。
北田昌宏氏のギターは本当にかっこいい。かなり影響を受けたし、ライヴのときはしょっちゅうチューニングを直すという部分も好きだ。あんな弾き方していたらそりゃぁチューニング狂うだろうけど…。
ここには入っていない「ハンバーガー」や「金魚」など、後期は名曲もあっただけに、それらをきちんとしたサウンドでスタジオ録音しておいて欲しかった、という思いは誰しもが抱いたことであろう。
しかし、それでいい。不満を言ってはいけないのだ。
INUというのはそういう音楽であり、バンドだった。
一切の意見を力任せにねじ伏せるのではなく、理解不能なパワーによって無効化させるような、不思議な状態を生成していたと思うし、演奏が始まったらあの尋常じゃないテンションなのだから、我々がどう思おうとINUへ与える影響など皆無なのである。
北田ギターの真似をしたパンクスのギター少年たちは一体どれほどの数いるのだろうか?
自分はもうどっぷりはまって毎日耳コピに勤しんでいたわけであるが、表題曲『メシ喰うな』なんかはどうやったってあんなのコピーできる筈もなく、かなり苦しんだ。まぁ、近い音を出せるまでには成長したが、音感が無いので完コピは今でも不可能だしする必要もない。
ともかく、北田ギターはすごい。そして、そのわりにギター少年たちは彼の存在を知らなかったりして残念である。連続射殺魔の和田氏、スラッヂの片岡氏と並んで、私の中で北田氏は日本のギターヒーローだったりする。ちなみに他にはガセネタの浜野氏、ラリーズの水谷氏など。
本作ではライブのときのような荒々しさや、INU本来の狂気に満ちたグルーヴは無いのであるが、それでもかなり重要な一枚であるといまだに思っている。
町蔵のボーカルはこの後の方が研ぎ澄まされてくるのであるが、それはまた別の日にでも。
今もっとも再発が望まれているバンド、RAP。
シティロッカー(ドグマ)リリースゆえに再発が困難というのはなんとも歯がゆい感じだ。
一つの提案としては、未発表の録音、ライブ、スタジオ別テイクなどをまとめて、新譜として出してしまうというのもアリだと思うが、やはりファンとしてはオリジナルのリマスタリングという形でCDになってほしいものである。
さて、本作HYSTERIAは、それまでのRAPよりも音質が向上したように聞こえる。それもそのはずで、シングル3枚は8トラックレコーダーでの録音だったのに対し、本作は16トラックでの録音になっているため、音の幅は広がっている。
楽曲もそれまでのRAPのイメージを変えることなく、コンセプチュアルにまとめあげられており、何度聴いても傑作であるとしか言いようのない完成度だと思う。これがラストになってしまったのが本当に惜しい。
サウンド的な面では、RAP特有の曇り空のようなファンタジーに加え、ソリッドなロックの勢いも加速しており、各楽器の音もタイトに聞こえる。理想的なロックアルバムだろう。
個人的にROUGEさんのファンだからかもしれないけど(すげー好き)、ROUGEさんってヴォーカリストとしてものすごく華やかさのある人だと思う。詩も独特の味のあるメッセージを持っているし、注目されて然るべき存在だと思うのだが、まだまだメディアの力が弱くて、RAPがどんなバンドだったか、を広く伝えようという音楽雑誌などが存在していないのが残念で仕方ない。
ただ、ここ最近になって熱心なファンの方々がブログやサイトを立ち上げ、RAPの良さを伝達しようというムーブメントが起きている。私はそういう声を無駄にしてはいけないと思うし、どんな形であろうとそれを行う意志というのは美しいと思う。良い音でRAPの曲を聴いて、今の若い世代にもその凄さを伝えたい、という気持ちって、リスナーという立場において最も純粋なものだしね。痛いほどよく分かる。
最後にROUGEさんに教わったベストなRAPの曲順というのを紹介しておきたい。実際私もこれで聴いてみてすごく良かったので、皆さんにもオススメします。
再発されたらこの順がいいなぁ。
「ロックマガジン」
「アクシデンツ」
「飾り窓」
「空間のあなた」
「迷宮」
「直情径行」
「NOT FOR SALL」
「RAPOUT」
「レジェンド」
「輪廻」
「ランドスケイプ」
「ヒステリア」
「マタニティブルー」
「麻酔/魔睡」
ラストに「麻酔/魔睡」 が来るのがポイントです。できれば歌詞カード見ながら聴いてください。RAPの世界観がよく分かります。
本当に、再発が望ましいバンドなので、私も陰ながら応援させていただきます。
本作ではニッキーではなく、ケイゴが唄っていますが、それがかなりかっこいいです。
一説によるとドラムはケイゴではなく、タツヤが叩いていたという話もありますが、どうなんでしょう?
ニッキーもこのEPにクレジットだけされていますが、正式な加入時期は謎です。
そんなレコードですが、やっぱり直球ロックンロールですごくかっこいいわけです。
ケイゴさんのボーカルはいい雰囲気が出ているし、ニッキー加入前のロード ・ ウォリアーズがバンドとして良いものを持っていたということを実感できます。
これもそんなに高い値段はついておらず、中古屋で500円くらいで売ってますので、見かけたら手にとってほしい一品です。
店によっては5000円くらいするかもしれませんが、安く見つかるとおもうので、諦めずに根気よく探してみてください。
更新が滞ってしまった。。。
最近は本業が異様に忙しい。
あぶらだこのような音楽は心にゆとりの無いときには聴けない。
だからこそ、今日はこの一枚を紹介しておく。
あぶらだこに悲劇性はまったくなく、かといってパラノイアックなギミックにばかり気をとられていると、音楽としての面白味を逃してしまうような、そんな世界である。
変拍子であろうが、ロックであろうが、一枚の塩化ビニールにパッケージングされた時点でそれは音楽メディアに転化する。
どんなに濃厚なものをやっても、薄っぺらな企画モノのCDと同列に扱われてしまう。だが、それは裏返してみればある種の理想的な環境なのであって、決して忌むべき性質のものでは無い気がする。
メディアという単位での平均化、均一化が行われれば、メジャー・マイナーなどという余計な区分は死滅し、新しい形での音楽文化が展開されることに期待できる。
そうなってくれれば、聴き手から見てすべてのレコードが同じスタートラインに立つことができ、奇妙な差別は発生する余地などなくなるわけである。
明るい未来のためにも、あぶらだことスーパーで流すBGMのCDなんかを一緒に購入することをオススメする。あなたの行動一つが、音楽を変えるのである。
かつて一世を風靡したギャルバン、伝説の一枚。
なんだかんだいって結構好きでした。
誰にも言わずにこっそり聴いてました。
そんな甘酸っぱい思い出のEP。もう10年近く経つのか…。
内容は90年代の女の子バンドを象徴するものですね。あの頃のギャルバンの魅力が全部詰まってる。ボーカルスタイルも演奏のポップさも、いまだにフォロワーを生み続けているぐらいの影響力で、ジェリベリを知らないという人も多いものの、知っている人は熱狂的に支持しているというバンドであった。
メンバーは解散後もそれぞれ活動を続けているが、やっぱりこのバンドが一番甘酸っぱくて好きだ。
90年代のあの気の抜けたような雰囲気の中、一瞬で駆け抜けたこの演奏は、ポップでありつつも、何かしらの強い信念は貫徹していたように思える。
毎度のことながら、このEPも現在は入手困難なので、デモ音源やコンピの音源も入れてCD化を希望したい。
たまにはこういうのもいいですね。
この前、実家に帰ったら親がプロジェクトXのビデオか何かを観ていて、部屋に田口トモロヲの声が響き渡っていた。
というわけでばちかぶり。
スラッヂの資料やスガワラ氏の話からすると、対バンでよく出ていたのがばちかぶりだったようだ。
この時期のばちかぶりは音はパンクなんだけど、色んな方向から考えるような姿勢が良い。ただひねくれ過ぎな感じはありますが…。オンリーユーにしても、ひねくれ過ぎてストレートなパンクに逆戻りした感じだし、この時期は実は迷走期なのでは? と思う。
個人的には以降のファンク路線が大好きだ。こんなに演奏上手かった? というぐらいまとまったオシャレなアルバム「白人黒人黄色人種」をベストに挙げたい。
じゃがたらの影響は強いが、これはこれでオリジナルな黄色人種向けファンク。CD化の時に「ワーストオブばちかぶり」になっていたが、こっちのがいいんじゃないかなぁ。
ゲストがやたら豪華だったファーストと、この「一流」はひねくれパンクな、一般的なイメージでのばちかぶりが聴けるが、できれば「白人黒人~」も聴いてほしい。
なぜナゴムからリリースしたのかは分からないが、ある意味すごくナゴムらしいバンドだったんじゃないかと思う。結果論かもしれないけれど…。
久し振りに新譜でも。駅前旅館のセカンド、ついに発売です。
前作のカオスが更に深まって、もはやあれこれ批評できるレベルではありません。歌詞カード見ながら聴いていても突然不意打ちのように面白い日本語がばっと切り込んでくるので、電車の中で聴いていたらふと吹き出してしまいそうになる危険性に満ち溢れています。
肉弾時代よりも文谷氏の狂気が固まっているような気がするのは、やはりその歌詞の優れた点からでしょう。こんな変態的な歌と演奏、まず他に出来る人はいません。
肉弾が大好きだった、という人でもしこれを未聴ならばすぐにでも聴いてみてください。今年最後に買ったアルバムですが、今年の新譜部門のベストだと思います。
こんなのまで再発される良い世の中です(笑)。
聴き所としてはNO-CUTですね。メロディもしっかりしててカッコイイ演奏です。
白(kuro)、アグレッシブドッグス、GAI、GESS、GEDONと、面子も素晴らしく聴きやすい一枚。
NO-CUTはノイズコア中心だと思われていた当時のあのシーンの中で最も聴きやすくカッチリした演奏をかましてくれたバンドですが、後半はポップ過ぎてちょっと苦手だったりします。
ここでのアグレッシブドッグスは初期ですね。
ゲスはリディア・キャッツの前身バンドで、まだパンクロック全開な感じ。
白に関してはアルバムが再発されたばかりなので近いうちにそちらで紹介します。
GEDONもよく愚鈍と間違われていますが、違う人達です。パンク精神に満ち溢れた演奏ですね。
そしてGAIもスワンキーズへの流れを感じさせる直球な感じで、とてもカッコイイのです。
この前のスワンキーズライヴを見逃して後悔しまくっている私のような人間はぜひともこれを聴いて自室で盛り上がってください。
カセット「ちょっと、たりないチンピラ」に「GET DOWN VALIS」を合わせてさらにライヴDVDまでついた完璧な再発!! 待ってました。
もちろん早速買ったわけですが、聴いてみて驚いたのはカセットのときとは音質がまるで違うということ。あのもこもこした感じが無くなって、実に迫力あるものになっています。
これはどうやら中村達也の家にあったオリジナルマスターから起こしたものらしく、ある意味リミックスまで行っている素晴らしい逸品です。そのため、良次雄のあのカッコイイギター(UKロックっぽいこともあればハードなブルース調であったりもする天才的な職人芸)がバッチリ鼓膜を直撃します。
DVDも実に興味深い映像ですので、GOD(原爆オキシドールの意味でしたっけ?)ファンは絶対に買ってみてください。オリジナルを持っている人も、これは別物として優れているのでオススメです!!
再発されて本当に良かったと思います。
ADKから出た看護婦モノ(こう書くといやらしいですね)。ギターはガスタンクのタツ氏で、ドラムがエクスキュートのユーロさんといういかした面子になったセカンド。
ヴォーカルの声質が苦手な人も多いと思うけど、私は大好きなんでこうして紹介してみました。
一時期ギターがタム氏、ドラムがピルさんという強烈なヘルプが入ったときがありましたが、音源は…あるのかな? まぁ、そういった謎の音源を発掘して再発してもらおう、というのがこのブログのテーマになったので、ナースもぜひリマスターして再発希望です!!
いつでもっ、どこでもっ、あなたのっ、ナーーース!!
もう立ち直れません…。
この冷めた感覚が、後に多大な影響力を持って語り継がれようとは、この時点の彼らは気づいていなかったと思う。
ワイアーはパンクという思想をこのアルバムの中で見事に突き詰め、解体した。ここまでストレートな音になったということが奇跡なのではなく、努力と才能の結果であることは一聴すればよくわかる。
音楽と向き合う姿勢として、ワイアーは優れている。
実直で硬質ながらも、幅広い選択を可能とした柔軟性こそが、ワイアーの素晴らしいサウンドであると思う。
イギリスよりもアメリカや日本で根強い支持を得ている彼らだが、先駆的であったという事実を抜いても尊敬できるバンドであると思う。
もう10年近くたつんですね…。思えばブッチャーズやビヨンズやDMBQが出てきたあの頃が一番カテゴライズし難い音楽シーンだったのかも知れないです。
ハードコアでも無く、グランジという訳でも無い、そんなオルタネイティブなバンドがこぞって出てきた中でも、ブラッドサースティー・ブッチャーズは硬派な感じで気にはなっていたんですが、なぜかライヴもそんなに観ていないし、アルバムは一枚も持っていなかったのです。
そしてこのアルバムが出たとき、ジャケットのビッグマフがカッコよくてついつい買ってしまい、中身の音が更に真っ直ぐな感じで、とても好感を覚えました。
その後、どうやら初回盤のこのジャケットの裏に映っていたスヌーピーが問題になって回収されたとか、どうでもいい話題がありましたが、中身の音の素晴らしさはそんなことに関係ないくらいに輝いていました。あまりに良かったので、僕の中のブッチャーズはこれ一枚で完結してしまいました。
最近、元ナンバーガールの人が加入したとか、いろんなウワサを耳にしましたが、結局のところ僕の知っているブッチャーズはこのアルバムなので、それでもう良いのです。
ロックバンドが恥ずかしい集団だと思っている人は、このアルバムを聴いてください。まともにぶつかってくる音塊が想像以上に神々しく、90年代の日本のロックを代表するアルバムの一枚として推薦しておきます。
今日は物凄く普通のレヴューですが、それだけこのアルバムの姿勢が真っ直ぐだということです。こんな言い訳ですいません…。
衝撃X!! あのミラーズの未発表音源集というとんでもないアルバム。よくここまで貴重なライヴ音源を集めたものである。
東京ロッカーズの中でも、このミラーズは破壊的な魅力があった。フリクションのようにNY的なサウンドでもなく、リザードのようなニューウェーヴでも無い。どちらかと言えば直球の芯のあるロックンロールである。当時のシーンでもゴジラレコードを立ち上げ、中心的な役割を担っていたヒゴ・ヒロシは、自身のバンドであるこのミラーズにおいて、あまりにも画期的なパンクとしての姿勢を築き上げたのであるが、このアルバムではそれを最もダイレクトに感じ取ることが可能だ。
未発表曲も、なぜ今まで世に出なかったのかが不思議なぐらいにクオリティの高いもので、この一枚を買って損するようなことはまず無い。
キャプテントリップからということもあって、スピードのときと一緒だったら嫌だなぁ、などと思っていたのだが、そんな不安も一気に消し飛ぶほど強烈な音が詰っていたのでかなり嬉しかった。
今日はそんなところで。
ps、ちょっとブログの調子がおかしいですが、すぐに復旧しますのでお待ち下さい。申し訳ありません。
ノー・ウェイヴの荒廃した地平を歩き疲れたとき、電柱の陰からデボラ・ハリー(通称デビー)が現れて私たちのためにキュートな歌声を聴かせてくれる。
ニューヨークの町が途端に美しい光彩を放ちはじめ、CBGBの中はかつてないほどのポップ感覚が充満した。
しかし、それを私は見たわけではない。決して見たわけではない。
だから、ノー・ニューヨークを尻目にブロンディーのライヴだけを見ていたパンクスは潔癖症ではないのである。彼らの瞳に映っていたものは、デビーではなく、自己克服のための偶像だったからだ。
デビーのステージのキュートさ、ポップさは、退廃美から目を背けることへの背徳を払拭するための強力なポップ・アイコンであった。DNAとブロンディーを立て続けに聴いて何が悪い? という開き直りが可能になるためのイニシエーションを、デビーはポップ要素とニューウェーヴ的装飾の中で見事に確立してしまったのである。
ブロンディーの存在があって、初めてあのノー・ウェーヴの荒廃感覚がモダンな輝きを見せていたのだと思うし、パンクが自己喪失へ向かわないためのストッパーとしての機能も果たしていたと思う。
色々な意味でブロンディーは重要な位置にあると思うので、比較的簡単に入手できるこのベスト盤を今日はオススメしたい。
つい最近までスピードと言えば、ケンゴのボーカルがカッコいい東京ロッカーズ時代のパンクバンドを指して言っていたものであるが、90年代後半には女児が歌って踊る薄気味の悪いユニットが登場し、そちらの方が市民権を得てしまったが故に、名盤「KISS OFF」の評価はイマイチである。
まぁ、どちらがパンクかと言われたら子供が歌い踊る方なんだが、「KISS OFF」のクールな感じをできれば多くの人に体験してもらいたい。
ちょっと前に発売された「KISS ON」は「KISS OFF」と一曲も重なっていないという未発表曲集なのだが、あまりにも本来のSPEEDの魅力が失せてしまっているために、逆に「KISS OFF」の真価を曇らせてしまい、「KISS ON」の方ではじめてスピードの曲に触れたという人はかなりの誤解を生んでしまったのかもしれない。
かといって「KISS OFF」はあのシティ・ロッカーからの発売だったということで、まず再発は無理だろう。これはスピードにとっては本当に迷惑な話だが、曲解されたまま不安定な伝説であり続けるしか、今の現状では考えられないようである。
その一方、もう一つのスピードはガンガンCDを売りさばき、もう解散したらしいけど未だに編集盤とかが売れまくっているらしい。
全ての音楽は等価であるが、それと同時に全ての音楽は流通の側面においても等しく聴かれるべきであると思う。
この二枚のジャケットが同時にレコード屋に並ぶ日を夢見て、私はボロボロになった「KISS OFF」に針を落とす。
そして、鋭いパンクサウンドが勢い良くスピーカーから飛び出すと、思わず泣きたいような気持ちに襲われるのだ。
ガールズパンク・パワーポップ系の金字塔的作品。パンクスの女の子たちはみんなこれを聴いてコピーしたりしたんでしょうね。
今でも人気の高い一枚ですが、ルックスは…なので、まだまだ一般層には認知されていないようです。ただ、これだけクオリティの高いポップ・パンクなのだから、普段女性ボーカルのポップスとか聴いている人にはオススメしたいです。
楽曲はとにかくポップなロックンロールです。シンプルでキャッチー。王道で誰にでも分かるタイプの音楽だと思います。
こういうパワーポップ系のパンクは評価されにくいみたいですが、ここ数年わりと再発などが続いていて、密かに盛り上がっています。この時期にぜひ、当時の若者の演奏に触れてみてはいかがでしょう。いろんなバンドがあってけっこう面白いです。
日本で唯一の、本物のポリティカルパンク。
「愛のかけら」や連作ソノシートに続いてリリースされた本作は、さらに演奏にまとまりも出てリアルというバンドの凄みが増している。まさに職人芸というか、洗練された世界が見事なまでに構築されているし、このバンドが最初から根本的に信念を曲げていないこともよく分かる。
ここまでの本格的なポリティカル・パンクが日本という土壌でポピュラリティを得ないのは、ぬるま湯のような偽りの平和に国民が安心しきっているからであり、その腐敗した魂にリアルは噛み付く。
システムに惑わされず、偽善を憎み、本当の平和を追求する。リアルの一貫した姿勢は神々しくもあり、この時点で結成から10年以上という相当なキャリアを持っているバンドなのに、初期衝動的な気持ちがまったく衰えていないことに驚愕せざるをえない。
メロディアスなギター、的確なリズム、そしてポリティカルな歌詞を鋭い発声で聞かせるヴォーカルは、まさに日本の誇るべきパンクのあり方だと思う。
初期の頃はハードコア系のギグに参加し、ADKからリリースもしていたリアルだが、ここにきてその理由がなんとなく分かった気がする。彼らは精神的にハードコアの先を見据えていたのだろうし、パンクという形で表現できる自分たちの意志を強固に確信していたのだろう。だからこそ、当時のハードコア勢とともにライヴをやり、周りを圧倒するような強烈なオリジナリティを発していたのだろうと考えられる。
リアルほど真摯なポリティカル・パンクは今後出現することはないだろう。
PS.資料提供で協力していただいた吉澤様に感謝いたします。ありがとうございました!!
最近働かない(就業という形で社会参加しない)若者が増えており、彼らはニートという呼称がつけられている。で、このニートというのは英語らしく、僕は学が無いので意味はよくわかりません。
というわけでこのアルバム。地獄に堕ちたニートにぜひ聴いてもらいたい一曲目「ニート! ニート! ニート!」から、全編通して激しいパンクロックが迸っている大傑作。
SGの音、叫び散らすボーカル、ドタドタと暴れるドラム、そしてうねり過ぎのベース。ダムドは当時の他のどんなバンドよりもパンクで、素晴らしい勢いを備えていた。現在、ピストルズやクラッシュは聴いたけどダムドは知らねぇ、という若きバンクスが多いが、ここにあるアグレッシブな楽曲を聴かずにパンクを素通りするのはもったいなさすぎる。だから「70年代の初期パンクってまず何を聴いたらいいの?」と聴かれたら、僕はこの一枚をぜったいに推薦する。
ここまでストレートにパンクなら、初めてでも何の問題もないでしょう。もともと音楽できる人達だし、演奏もわりと上手かったりするのが微笑ましい。
ダムドを未体験ならば、ぜひレンタルでもして聴いてみてください。そうすれば知らず知らずにニートから抜け出しているはず!!
James Chance & The Contortions、初来日!
これは行くしかねぇ、と思ったのですが、当日5500円(ドリンク別)は高い! しかも3日とも思いっきり仕事あるし…。
だいたい高すぎるよ、5500円も持ってないし、ノー・ニューヨークなのにそんなに高いのは何か間違ってる。こんなのパンクじゃねぇ、そんなコントーションズなら見なくていいや…。などと自分を誤魔化してものすごく虚しい気分を解消してみるのだが、結局のところJames Chance & The Contortionsが好きで好きで仕方のない僕としては、この「BUY」や「ノーニューヨーク」を聴いて我慢する他に道らしきものは残されていないのだ。
James Chanceの暴れっぷりがよくわかる当時のライヴ写真などを観ると、あの時代のニューヨークを体験できた現地のパンクスたちが羨ましくてしかたない。パンクなのにJames Chanceはサックスを首から提げて叫び散らし、でたらめなサックスを吹きまくる。そのスタイルが妙にカッコよく、高校の頃はずっとコントーションズみたいな音を出すバンドをいつか組みたいと思っていた。フリクションはもちろんのこと、スターリンのミチロウなんかもJames Chance & The Contortionsから多大な影響を受けたと何かの雑誌で語っていた。そんなパンクの教科書であるJames Chance & The Contortionsが初来日するのである。これほどの大事件があるのに、金が無くて行けないという虚しさを、またコントーションズを聴いて紛らわすという、もうどうしようもない悪循環。まさに泥沼である。
誰か観に行った人は詳細を教えてください。よろしくです。
このひとたちのアルバムはあまり聴いていないのですが、なぜかこのメジャー3枚目は好きです。というより「僕の右手」を聴くと、グールの故マサミさんのステージングを思い出してしまうという、ハードコアファンにとってはとても切ないアルバムなので大推薦です。
音自体も格段に進化していて、タイトル曲は真島さん作なんですが、他のメンバーも全体的にまとまりのある感じになっている時期だと思えます。
オリジナル盤を手放してしまった私も「青空」と「僕の右手」を聴く為だけに、つい三年くらい前にツタヤでレンタルしてみたんですが、やっぱり切ないアルバムでした。暗い気分の時は聴けないです。
最初の頃のクラッシュみたいな感じも嫌いじゃないですけど、私は中期を支持します。結構一枚選ぶのに悩みましたが、聴き込むとあまり青春パンクっぽさは感じられなくなるのが不思議です。マーシーのブルース調の曲が心地よく、そこいらの青春パンクバンドとはまったく別モノだったことに気がつけたというのが、今回は良い発見だったと思います。
87年作ソノシート。しかもステッカー付き。たぶん、今現在活動しているCRAZEとはまったく別のバンドでしょうね。メンバー全員違うし。ただ、A面の名曲『レジスタンス』だけは妙にカッコイイ新時代の音で、聞き流すことのできない傑作。カテゴリとしてはパンクだけど、ポップな感触もありなかなか侮れない。
前にD-SHADEっていう5~6年くらい前に売れてたヴィジュアル系バンドでギター弾いてたKENくんと遊んだとき「CRAZEに影響受けてたから~」というようなことを言ってて、このソノシートを聴くと必ず彼のことを思い出す。彼はいまも元気かなぁ…。
果たして彼が影響を受けたのはどの時期のCRAZEなのかは不明だが、KENくんの作る曲はいつもこのソノシートの空気を含んでいた。彼が影響受けたのって、ひょっとして、これ?
誰かこの謎のソノシートに関して詳しい方いたら教えてください。現在活動しているCRAZEとの関係や、このカッコイイ曲を演奏していたメンバーの消息、当時のライヴの様子など、知っていたらぜひコメントしてください。
今回はスキャナが死んでデジカメで撮ったため、画像が死んでます。ご了承ください。
サワキカスミ率いる右翼バンド。このシングルではいままでよりも更に演奏がグレードアップし、曲も素晴らしく練られたアレンジになっている。
「在日外国人指紋押捺大反対」や「愛国者の真実の叫び」といった曲に込められたサワキ氏の魂は、単なる右翼バンドでは無く、真に国を愛するということだけをひたすら考え続けた末の産物であるように思える。憂国の念が、サワキ氏の意外にストレートで細めなボーカルで歌われたとき、ここにあるような美しい世界が姿を現し、何かを訴えるための道具ではなく、訴えるということそのものの姿として歌がそこに正座しているのが感じ取れるだろう。
日本のパンクという枠組みに最も適したバンドであると同時に、最も日本でのパンクを意識していたバンドだと思う。
元なんとかのベース、とか、そういう言い方はこのバンドに対して失礼に値するので、メンバーの情報についてはあえて語らないでおく。
イギリスの、とても美しい曇り空系のパンク。後のギターポップにも影響を与えた名作だが、意外に中身の音を聴いたという人は稀。なぜかは知らないが過小評価されている。
改めて音を聴いてみると、パワーポップである。この時代、ここまで完成度の高いポップパンクを演奏していた事実だけでも、このバンドの才能の豊かさが分かる。グレンのソングライティングのセンスは極めて良質だ。キャッチーでタイト。もはやこのジャンルにおいて敵は無いでしょう。
「Young Girls」
この一曲だけでいいから聴いてほしい。特に青春パンクとか好きな人、これが本物の青春パンクです。イギリスの当時を知るならグレンの元バンドの方を聴けばOKだが、リアルに薄暗い若者の心情を理解したければ、本盤に勝るものはないだろう。
脱力系などと勝手なレッテルを貼る人間は、このフリッパーの前では知識の無さを露呈する羽目になるだろう。まったくもって凶暴な、パンクという形態の中で最も危険な状態を作り出しているのがこのアルバム。スピードも強度も無い。ただ世の中に中指を突き立てる意味は心得ている。そんな彼らの元祖ストーナー的演奏はスラッジ感覚に満ちており、客を退屈させるには充分な倦怠ぶりである。
このだらだらした感じを新しいと感じるか、つまらないと受け取るか、それは個人の自由に基づいているわけだが、ここまで凶悪な音を無視するような態度はとりたくないものである。
誤解を恐れずに言えば、歴史的名盤である。
記念すべきワイパーズのファースト。「リターン・オブ・ザ・ラット」をはじめて聴いたときの衝撃は忘れられない。とんでもなく殺傷能力の高いグルーヴは、とても80年代初頭とは思えない破壊力である。
独特なポップ感覚も持ち合わせているし、当時の他のパンクとはまったく根を別にしたサイケデリックなグルーヴ感覚がなにしろ斬新で、グランジ勢が夢中になってカバーしまくったのも頷ける。
ささくれだったパンクの感触と、へヴィサイケの持つ重さを最初から保持していたのは、グレッグ・セイジという天才だけだったのである。
アメリカのロック史を語る上で、グレッグ・セイジの名は外せないだろう。
今回紹介した初期の三枚はセットで売られているので、比較的安価かつ簡単に入手可能であるため、未聴の方はぜひ聴いてみてほしい。素晴らしい体験を保障します。
激しいロック、というキャッチコピーで売られているほとんどの音楽は贋物である。実際に針を落としてみると、たいした激しさではなかったりするレコードがかなりの枚数存在しているのが現状だ。
そういった中で、このワイパーズはホンモノの激しさと、ヘヴィなグループを貫徹していた稀少なバンドである。グランジ好きなら、リターン・オブ・ザ・ラットやD-7といった楽曲をニルヴァーナがカヴァーしていたことや、マッド・ハニー、ダイナソー、ポイズン・イディアなどの後輩バンドに多大な影響を与えたことも知っている筈だ。本作のタイトル曲も、コートニー・ラヴ率いるホールにカヴァーされ、一躍有名になった。
そんなグランジ一派に大人気なワイパーズも、日本ではあまり人気が無いようで、知名度は極端に低い。僕は個人的にワイパーズで育ち、ワイパーズに憬れてバンドをやったりしていたので、そのような境遇が不思議でならない。どうしてこんなに良質なバンドが愛されないのだろう? そんな不満を解消するために、彼らの楽曲をよく演奏した。僕にとってこのバンドは偉大過ぎる。本当に大きな影響を受けたし、今後も若いロックファンに聴き続けていってほしい音楽だと思う。
本作は彼らの三枚目のアルバム。一曲目のタイトル曲「OVER THE EDGE」の重く激しい独特のメロディーは、いまだに色褪せてはいない。現在のラウド・ロックやへヴィ・ロックといわれているバンドの多くは、ワイパーズの模倣に過ぎないと言っても過言ではないだろう。
最高にイカシたバンドなので、是非聴いてほしい。
女性上位なイメージばかりが話題に上るこのバンドも、素直に聴けばかなりオシャレなパンクロック。そこらへんのアイドルまがいのガールズパンクよりは、よっぽどパンク精神を感じる。
かつてカート・コバーンとつきあっていて、スメルズ・ライク・ティーン・スピリットがこのバンドの人にインスパイアされて出来た曲だという事実などどうでもいいし、グランジなんて関係ない。ビキニ・キルはパンクなのだから、世の中に中指を突き立てていれば良いのである。
それにしても、このフェミニストっぷりはちょっと他に無いんじゃないかと思う。フェミニズム・パンクの王道。
REZILLOSは銀紙にくるまれた僕たちの秘密のキャンディーだった。カラフルで、甘くて、ときに不思議な味もする。キラキラしたポップな演奏は、いまもなお極彩色の美しさを保っているのである。
このバンドの「フライング・ソーサー・アタック」は何度も何度も聴いた。ユングの著書「空飛ぶ円盤」を片手に、サイエンス・ノン・フィクションの世界が本当はファンタジックなんだという事実に気がつくまで、このアルバムを聴き続けた。
いまだにベースを手にすると、このREZILLOSのフレーズをぼこぼこ弾いてしまうのは、それだけこのバンドが強力なインパクトを持っていたからだと思う。このアルバムのベースプレイは、僕の基本としてこれからも根強く残るんだろう。墓場までもっていきたい音である。
チェリーレッドからのリリースで、久しぶりに僕らを楽しませてくれたバズコックス。その洗練されたパンクはまったく勢いを失っていないことが実感できる。
バズコックスのスマートな、それでいて激しく転がるサウンドは、もはや一つの定型としてパンクを支配している。ポップで激しく、ときにセンチメンタルな空気を伴って、彼らの演奏はやって来るのだ。
だから、窓を開けたまま寝ていると深夜にドブの臭いで目が覚めるし、イギリスの荒れた景色が寝室を覆いはじめる。
侵食のステージは最初から重い。逃れるための手段も押しつぶされてしまうほどであるが、バズコックスの悪夢のような側面は、そこから派生する。
あのサウンドの裏側にへばりついているホンの少しの哀愁のような成分が、きっと僕らをトリコにするんだろう。もちろん、それは灰色の絵画を、できるだけ暴力的に描くためのステップとしての話。
ちょっと前に、スマップの木村君かなんかが主演で出てた「ラブジェネレーション」ってドラマがあって、また早川義夫のジャックスにもそういう曲があって、両者ともに「らぶじぇね」と略していたのですが、思えばこの人たちのことは「ぶらじぇね」と略したもんだなぁ、と遠い目をしてかつてのロックンロールを思い出してみます。そう、これは青春モノです。
物凄くダサいことを平気でやってのける人を、人々は尊敬の眼差しで見つめます。このソノシートも、歌詞は青春ど真ん中な50年代風のメッセージが強烈。サウンドも真っ直ぐ過ぎるロックンロールで、正直カッコイイとは言えないパーツで構成されているのに、なぜか「カッコイイんじゃないか?」と思わせてしまう勢いがとても異色。
200円のソノシートでこれだけやってくれるんだから、素晴らしいとしかコメントできません。偉大!
81年ぐらいのミルウォーキーのバンド。
とはいえ、音楽性は60sガレージ風味で音もショボイ。でも曲自体はポップでかっこいいので、パワー・ポップコーナーにひっそりと置かれている亡霊みたいな一枚。
ジャケットとかも写真が糊で貼ってあって、なんか手作り感溢れる感じです。しかもCD-Rだし。
こういった田舎のパンクバンドは面白い音を出すので、今後も色々と発掘していきたいのですが、情報も極端に少ないので入り口が分からず。
このアルバムは後半の流れが結構好きで、ヘンなライブっぽい曲もかっこいいと思います。ミルウォーキーの青春の一ページ、田舎の若者たちの、やり場の無い悶々とした感じが伝わってくるリアルな盤です。
青春です。ちょっと恥ずかしいけど、昔聴きまくっていたんです。
この前17年ぶりに新作が出たけど、聴いたら泣きそうなのでまだ買っていない。でもコンピレーションで入ってるベストみたいなのは買って、I wanna be yourself が流れた時点で泣きそうになった。
このバンドを聴いていたせいで、後のリンドバーグやジュディ&何某とかがでてきたときは、粗末なコピーにしか見えなかったし、女性ボーカルのポップ・パンクといったら真っ先にウォーリアーズが思い浮かぶ。
Born to RideやFeel Good、全曲カッコイイ。ウォーリアーズの演奏も本物のロックンロールだし、ニッキーは永遠のパンクアイドルです。
全国のニッキーファンの人、今日は押入れからウォーリアーズを引っ張り出して聴いてください。そして懐かしいあの頃を思い出してください。
永遠に不滅のバンドです。
直球ピストルズ系パンク! 元ガイ(ノイズコアっぽい音)のメンバーなのでノイジーな部分もあったスワンキーズが完全にストレートなパンクロックをブチかました名作。
これはちょっとケタ外れのカッコ良さなんで、ピストルズ好きならオススメ。こんな硬派なパンクを聴いたらあとは何もいらないぐらいです。
これでぐっときたら、未発表曲「TOKYO」も併せて聴いてください。「売女のあのコはFrom東京!」と歌う傑作です。たしかシングルコレクションみたいなアルバムに入ってます。
スワンキーズのレコードってなんか高いんですけど、もう少し安くならないのでしょうか? 20分くらいのCDで2800円は高い! 金の無いパンクス達にこそ聴いて欲しいスワンキーズのアルバムが高値なんて絶対におかしいし、金持ちには聴かせたくないアルバムなのだから、もう少し安くして再発してください。そしたらもう一枚買います。
最初はポップだったから軽視してたんだけど、やっぱりメロディ・メーカーとして秀逸だよね、ウィラード。90年代の歌謡ロックってここに原点があるのかもしれない。
一時期やたらプレミアがついてて、ここぞとばかりに僕は売却してしまったのであるが、今になってまた聴きたくなったりもするなつかし盤。
ウィラードはメロディがしっかりしていて、ヴォーカルも複式呼吸マスターって感じの張り上げるタイプだから、万人に受ける歌謡パンクバンドにならなかったのが不思議なくらいですね。すごくポップ。
ハードコアとか好きな人にとっては軟派かもしれないが、ウィラードの曲はパンクとしてもそれなりに破壊力のあるものだったということを本作を聴きなおして実感してみてほしい。
ノルマントン号事件のことを何故かふと思い出し、タバコを二箱も吸ってしまった。
日本人だけ全員死亡。
ノルマントン号だけには乗りたくないなぁ、などと小学生でも考えないような幼稚な発想しか出来ず、ダイアプレスのTさんに電話したら「その人は何年か前に退社しましたよ。でもトップビデオ誌の方には同じ名前のTという者がおりますが」なんていう意味不明の返答。「じゃ、そのTさんでよろしくどうぞ」などと伝え、保留音の後に登場したのはいつものTさん。
「トップビデオのTさん?」
「いや、どうやら受付が間違えたみたいです。僕はトップビデオなんてやってないです」
「じゃあいつものTさんですね」と、納得したようなしないような気分。
人違いってよくあるなぁ、とペイガンズを聴く度に思ったりする。
世界最強のパンクス、GGアリンが死んでからもう随分経ちましたね。最近やたらと再評価され始めたけど、何かあったんでしょうか。前に買ったGGのビデオを観たら、いつもどおり極小ペニスを露出しながらクソ塗れになって歌う元気なGGがいてなんだか切ない気分。
さて、そんな彼がまだ声変わりする前のラモーンズ風ロックンロールが聴けるのがこのシングル。「デッド・オア・アライヴ」はポップで本当にカッコイイ。この純朴そうな声の持ち主が後に「キル・ザ・チルドレン・セイブ・ザ・フード」とかを地獄のような声で歌うとはまったく予想できないくらい爽やか。
で、後期GGの音源もライヴ音源もシングルコレクションも全部簡単に入手できるので、未聴の人はこの機会にぜひ聴いておくべき傑作です。I'm Gonna Rape You!!!!
冷静になって考えると、ミスフィッツは特異なバンドであることが分かる。当時のニューヨークになぜこういったバンドが出てきたのか大変興味深いが、彼らの曲を聴けばそんなことはどうでもよくなる。
本作はミスフィッツのシングルとかの音源を集めた究極の一枚。もともとブートだったけどプラン9が公式にリリースしてたと思う。
問答無用のハードコアナンバー「Mommy Can I Go Out And Kill Tonight?」を始め、ミスフィッツというバンドはただの色物バンドじゃなく、ハードコアバンドとして優れた逸材だったことを再認識できるだろう。グレン・ダンジグ以外のメンバーで再結成されたが、そんなのはミスフィッツじゃないし、本来の魅力を体験するならこういった過去の音源だけで充分なのである。
大昔に母親が大阪旅行へ行った時に、土産で買ってきたのが何故かミスフィッツのTシャツで、あれからもう10年経つがいまだによく着ている。
フレッシュイーターズのセカンド。やっぱこの時代のLAパンクは凄いね。こんなゴミみたいなバンドがたくさんいたんだから。このバンドもご多分に洩れず、ヘッタクソなパンク(というより味気ないロック)を一生懸命やっていて面白いです。物凄くダメなアルバムなんですが、何回も聴いてると「それなりにいいかも」などという間違った考えに至ったりもするので、深入りしない方が身のためです。
ちなみに1stの方はこれより幾分かはマシなので、初めて買うなら一枚目からがおすすめです。どうせこんなの聴く奴いないだろうけどね。Flesh Eatersで検索すればバンドの素性が分かりますが、日本語のサイトは無いので英語ダメな人にとっては謎のバンドということになります。まぁ、そっちのほうがおもしろいんだけどね。
有名なダッチワイフジャケのこのアルバム、パンクなら避けて通れない一枚である。ボーカルだったメンバーを敢えて外して録音されたアヴァンギャルドな本作は、あまり知られていないがかなりカッコイイ。クラスの思想は過激なだけでまったく影響されなかったが、音楽性にはけっこうやられた。ノイジーなパンクというだけで片付けてしまうのはもったいないし、かといって褒めちぎるようなバンドでもない。
このアルバム以外も、クラスは全て素晴らしい。批評しにくいバンドであるが、「かっこいいパンク」意外の言葉で彼らを説明するというのもしっくりこないので、敢えて言います、最高のパンクバンドです。
アーント・サリーのライブ音源とかの未発表曲集。フューは坂本教授のプロデュースした歌謡曲みたいなやつのイメージが強くて、こういうパンクなのは凄いけど、ソロ作はあんまし聴いてないです。アーント・サリーはあのコジマ録音のオリジナル盤が結局入手できずに何年も経ってからこれと、ファーストが立て続けに(結構間あったけど)再発されたので、半分忘れかけてた頃にヘソクリを発見、みたいな喜びが相乗効果となって、より素晴らしい音楽に聴こえた。
ファーストの方は意外と重苦しいサウンドで、例の「天才なんて誰でもなれる 鉄道自殺すればいいだけ」という歌詞もキマッている。守安祥太郎のことか、それとも萩尾望都の「トーマの心臓」のようなことなのか、高野悦子『二十歳の原点』という線も考えられる。ともかくその冷めた視線がやたらと鋭く磁場を揺さぶっていく凶悪な音楽に、触れないでおくというのはもったいなさ過ぎるので、僕は再発直後に買ったわけだが、最近めっきり聞いてないのでなんか寂しい。おそらく実家のどこかにあると思うので、今度帰ったときにでも探してみようと思う。
よく考えたらクリスマスがいつの間にか過ぎ去っていて愕然。今年も普通に仕事して帰って寝た。
中学生のころ、クリスマスは一人湿った部屋でこのアルバムを聴いて、Suspect Deviceをフルボリュウムで流しながら興奮していた。彼女のいない、ビデオばかり観ている陰気な少年だった僕には、Stiff Little Fingers のようなストレートなパンクロックがやけに刺激的に思えた。
もうしばらくこのアルバムを聴いてない。かつての興奮を思い出して、再び聴こうという気にもなれない。あの頃のモテなくさえない少年だった自分を思い出すのが嫌なわけじゃなく、単純にこういうのを聴くというのが億劫になっているだけだ。もし軽い気持ちで聴いてしまって、過去の興奮を台無しにするのが怖いのかもしれないが、まだ未聴ならば是非聴いておきたいレコードである。それもなるべく若い時期に。
ドンキの放火事件のニュースで思い出したのが、なぜかこれ。別に関連性は何一つ無い上に、何年も聴いてなかった一枚である。
シーナはパンクロッカー、などと説明されてもどんな顔をしていいのか分からず、椎名誠や椎名林檎は絶対にパンクではないなぁ、などという、どうでもいいことに思考が傾き、すべてを虚脱させる魔の音楽。
早くて短く簡単。そんな便利そうなキャッチフレーズが付くラモーンズは、本当にパンクロックの基礎を築いたのであろうか? ここにある音は凶暴なまでにいい加減で投げやりなロックンロールでしかないし、ニューヨークで生まれたとは思えないほど田舎クサイ風味に満ち溢れている。ただ、ろくでもない若者が適当にロックを演奏している様子は1stの方が良く伝わってくるので、まずはそっちから入ると攻略できるかも。
ともかく、ラモーンズの音は青春というより、引きこもりのシンナー遊びといった風情である。
たしか高木完のユニットだったと思う。パンクだけどけっこうニューウェーブ寄りで、ゴジラレコードから出してた。
フレッシュみたいなバンドってもう出てこないと思うし、やろうと思う者もいないだろう。当時の東京だからこそ出来た音というのは、東京ロッカーズの他のバンドもそうだけど、現在再現できそうもない一種独特の感触があり、得体の知れないノスタルジーに支配されている。その乾いた感覚の懐かしさというものは意外に心地よく、ぴりぴりとした都会の夜に飲み込まれていく。フレッシュの音は別に斬新ではないし、フリクション等と比べたら強度も無い。ただ、これはこれでオリジナリティのある日本のパンクだったという事実が重要だ。
こういう盤をなんとなく聴くというのもいいし、それはそれでおきまりの午後である。
メタルボックス。だけど僕の持ってるやつは缶が錆びてしまって赤錆ボックスと化している。
でも肝心の中身は状態よく保存でき、未だ現役で聴ける。
ジョン・ライドンが行き着いたのがこのような地平だったことは、パンクというカテゴリの持っている虚無感覚の肥大が原因である。つまりはやる気がないフリをするフリ。偽りのニヒリズムを飛び越えた本物の虚無感が鋼鉄の入れ物に詰まっている本作は、若いうちに聴いておきたいアルバムベスト10位以内には必ず入れたい名盤だ。
正直、ピストルズなんか聴かなくても何ら問題はないが、こっちは必聴。パンクでいることの意味や、反抗することの果てにあるものが、ゆったりと首をもたげてこちらを見つめている。逃げられない恐怖と底知れない喪失感に脅えるときは、かならずこれがBGM。