世の中の右と左そしてうしろ 暗がりで笑う人をみたときや 銀行のATMで現金を取り忘れたときに なんとなく読むブログ
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2005年06月のアーカイブ
これまた謎のニューウェイヴ。すごくポップですが、多分誰も知りませんね。
女性ボーカルのキッチュなテクノポップで、僕は好きです。特にB面。
埋もれてしまうテクノポップというのはものすごく切ないものです。せっかくこのような場を設けているので積極的にこれらの名盤をこれからも取り上げていきたいと思います。
80年代の、このような特殊な文化こそ、もう少し研究されるべきだと思うのですが、世間ではいわゆる『知名度のあるアンダーグラウンド』というよくわからないものばかり取り上げて、これらの忘れ去られたマニア盤は評価すらしてもらえないような現状を作り出してしまっているように思う。
だから、その体質を変えたい。スターリンやじゃがたらだけがアンダーグラウンドじゃないし、RCやボウイだけがメジャーではないのです。
広い視点で、というより大きな心で、こういうレコードを受け入れたいと思います。
フレディ・マーキュリーが死ぬ直前の録音。最近クイーンがなぜか流行っていたので、それに便乗して今回はクイーンで。
ふつうなら3枚目とか『オペラ座~』とかをベストにするんでしょうけど、ここにある独特の音楽がもっともクイーン的だと思いますので、これを推薦します。90年代のクイーン作品ですが、トータルでクイーン史上に残る傑作だと思いますし、評価が低いのは往年の煌びやかなイメージが無いからという理由だけでしょう。この雑多なミクスチャー感覚こそクイーンの真価であり、必ず書いてあった「シンセは使っていない」の表記がいつのまにかなくなり、大々的にシンセで誤魔化すサウンド構築方法を打ち出してから、クイーンは更なる迷宮へ迷い込んでいる。
この路線であと三枚アルバムを作っていたら…、と思うと残念で仕方ない。
87年作ソノシート。しかもステッカー付き。たぶん、今現在活動しているCRAZEとはまったく別のバンドでしょうね。メンバー全員違うし。ただ、A面の名曲『レジスタンス』だけは妙にカッコイイ新時代の音で、聞き流すことのできない傑作。カテゴリとしてはパンクだけど、ポップな感触もありなかなか侮れない。
前にD-SHADEっていう5~6年くらい前に売れてたヴィジュアル系バンドでギター弾いてたKENくんと遊んだとき「CRAZEに影響受けてたから~」というようなことを言ってて、このソノシートを聴くと必ず彼のことを思い出す。彼はいまも元気かなぁ…。
果たして彼が影響を受けたのはどの時期のCRAZEなのかは不明だが、KENくんの作る曲はいつもこのソノシートの空気を含んでいた。彼が影響受けたのって、ひょっとして、これ?
誰かこの謎のソノシートに関して詳しい方いたら教えてください。現在活動しているCRAZEとの関係や、このカッコイイ曲を演奏していたメンバーの消息、当時のライヴの様子など、知っていたらぜひコメントしてください。
今回はスキャナが死んでデジカメで撮ったため、画像が死んでます。ご了承ください。
十代の頃、女の子と遊びに行く前に必ず聴いたのがこれ。
まさかソニックス聴いてデートに行くような奴はいないだろう、と思われるかもしれないが、これかストゥージズの3rdをなぜかデート前に爆音で聴いてから家を出ていた。
今考えると、あれは僕なりの儀式みたいなものだったのかもしれない。ソニックスを爆音で聴くことによって、一種の照れ隠しみたいなことをしていたのだろう。
さんざん盛り上がって、最高のテンションで家を飛び出すわけだが、どういうわけかデート中はどうでもよくなってしまい、勝手に自分の好きなレコードを買ったり映画を観たりして、常にデートは失敗に終わっていた。苦い青春である。
いまでもソニックスを聴くと、無条件で盛り上がるが、この勢いをデートに利用しようなどという姑息な手段を思いついた若き日の僕が目の前に現れて、なんとも切なくなる。
そんな、個人的に忘れられないガレージパンクの名盤。もちろん彼らのセカンドも最高である。
とにかく勢い良く、荒々しいロックがスピーカーから思いっきり飛び出す。
このかっこよさは格別だろう。
ブレイカーズのテープにカビが生えて捨てざるを得なくなった。
当時、僕の住んでいた部屋はやたらと湿度が高く、畳も箪笥の表面にすらも、うっすらとカビが発生していた。そのせいでずいぶんとたくさんのビデオテープやカセットテープ、機材が使い物にならなくなってしまったのだ。被害は深刻で、カビの力って恐ろしいなぁ、などと言ってられるほど穏やかな状況でもなかったのである。
真島昌利といえばザ・ブレイカーズ。最高にカッコいい、イカシたビートバンド。そんなブレイカーズのテープがダメになって、僕はそれ以来マーシーの曲を聴いていなかった。
本作「夏のぬけがら」はブレイカーズ時代の名曲「アンダルシアに憧れて」も収録されていることで有名だが、真島昌利という人の優れた作曲センスにまず驚かされる。ゆったりとしたサイケデリックな楽曲と、マーシーの枯れた歌声は絶品であり、ブルーハーツともブレイカーズとも違う景色を描いている。
面白いのは、友部正人の曲をマーシーが歌って、ここまでピッタリと合った雰囲気を作り出していることだろう。
この「夏のぬけがら」はゆったりとした郷愁感覚と、真島昌利本来の音楽性が剥き出しになった傑作である。ブルーハーツよりも、僕はここでの彼が好きだ。とびきり素直でそのままの楽曲に、彼の飾らないボーカルが乗っかることによって、ブルーハーツとは違う青春が顔を出している。
どさくさに紛れてこのような王道の名盤を紹介してみるのもたまにはいいでしょう。
ポリスはよく聴くとヘンなんです。
この盤に収録されているデビュー曲『ロクサーヌ』も、繰り返し聴くとかなり奇妙。
中学のときテレビの音を消して、ポリスを一日中流すのが日課だった。
勉強もできない、友達が多いわけでもない、更にまったくモテないという当時の空気を、スティングの線の細いボーカルとアンディ・サマーズのテレキャスターは、恥ずかしいぐらいくっきりと映し出す。
だから、しばらくポリスは聴いていない。
たまに町でポリスの曲を耳にすると、中学の頃の行き詰った虚無感を思い出し、吐き気がするほどロマンチックになる。
85年リリースの伝説的カセットオムニバスがついにCD化! って十年くらい前の話ですいません。
でもこのCDいまだに売ってますよね。人気はある筈なんだけど、在庫が多いのだろうか?
内容はGAI、GEDON、NO-CUT、コンフューズ、CRAPS、GESSといったバンドのノイズコアがたっぷり詰まった最強コンピ。九州パンクのファンなら絶対必聴。
ガイとコンフューズが入ってるだけで凄いのに、他のバンドのオリジナリティも強烈で、この時代のノイズコアの勢いを充分に体験できる一枚。
カオスUKの影響バリバリのギターの音だけで、好きな人はブッ倒れるでしょう。本盤を知っていれば、『蝉が鳴いているようなギター』、という表現はもう必要ない。『GAIやコンフューズのような』、という形容でばっちり伝わるはずだから。
ヴァイオレント・パーティー。伝説的な作品である。
もう誰が何のバンドにいたかなんて書かなくていいよね!
先にライヴで観てて、これが出たときに三茶のフジヤマで「最近のハードコアでオススメありますか?」と店長の渡辺さんに尋ねたらこれを教えてくれた。「ライヴよりいい」という渡辺さんの言葉どおり、聴いてみるとかなり熱いハードコアサウンドで、日本語詞とサックスもうなりまくる大名盤だった。
他のアルバムもいいが、本作を聴いたときの衝撃が大きかったので、あえてこれを推したい。
ツボをきちんとおさえた極上のハードコアと真摯なメッセージは、いやがおうにも気分が高揚するように仕組まれている。未体験ならばぜひ。
廣木隆一かなんかのピンク映画をせっせと見に行った高校生のとき、薄汚れたポルノ映画館の汚いスピーカーから流れたのがこの印象的な音楽。いったいこのポップでアンニュイでオルタネイティブな音楽は何? と映画の内容などろくすっぽ頭に入らずに、上映中ずっと曲のことを考え続けた。クレジットか何かに「D-DAY」と書いてあって映画館を飛び出してすぐにD-DAYという人達のレコードを探しまくった。
で、中古ラックに300円で売られていたのがこれ。
間違って買ったかも、とおそるおそる針を落とすと、まさにあの音が流れ出したので思わずガッツポーズ。その後、僕はこれを何度も聴き続けた。
当時ゼルダとよく比較されていたみたいだけど、全然別物。こっちの方が個人的には好みだし、雰囲気が薄暗くて良いです。カワキタさんのボーカルは線が細くて音と妙にマッチしているし、曲そのもののセンスも抜群。ただ、このバンドを知りえたのがピンク映画だったことで、これを聴くたびに映画館の暗闇とあのすえたニオイを思い出してしまうのが難ではあるが。
マヘルの、NOISEの、あの工藤礼子さんのソロ2発目。
これを聴いて「マヘルと一緒じゃん」とか言う人間とは口をききたくない。
とにかく純度の高い楽曲に礼子さんの声が被さり、この世のモノとは思えない美しさ。これが真のうたであり、サイケデリックの本質であることは間違いない。
冬里さんの声もちょろっとコーラスで入るので、ほぼマヘルの曲としても楽しめるが、やっぱり別物としてとらえたいですね。工藤冬里は日本で一番好きなミュージシャンなので、これからも彼らの音源は一枚づつ紹介していきたいと思います。
時間軸とリズム感を完全に忘れ去った「うた」ほど、美しく響くものは無い。
魂ぬかれる。
これ、意外に思われるかもしれないけど、DIPの中で一番好きなアルバムだったりする。もちろんディップ・ザ・フラッグとヤマジカズヒデのソロは別物としてだけど。
スーパー・ラヴァーズ・イン・ザ・サンの、あの歌謡メロディと歪んだギターの調和は素晴らしい発見であると同時に、太古より脈々と流れてきたロックのスピリッツをきちんと踏襲している。DIPもついにここまで来たかぁ、と随分納得したものである。
この少し乾いた感覚のアルバムの後に『WEEKENDER』でまた深い混沌のサイケサウンドを打ち出すわけなのだが、個人的にはここでのポップかつソリッドな演奏がベスト。
最近のDIPも好きだけど、この中期の雑多な感じは、見過ごすにはもったいない魅力を秘めている。
轟音ギター盤として話題に上る事の多い本作だが、DIPの魅力は曲作りそのものにあるので、轟音だけのために本作を聴くのはあまりにももったいなさ過ぎる。
と、さっきからもったいないもったいないと繰り返しているが、DIPの楽曲にはおびただしい量の情報が含まれているので、もったいなさを感じる人間にとってもかなり満足できる仕上がりになっている。
1枚で5枚分は楽しめる充実盤。
サワキカスミ率いる右翼バンド。このシングルではいままでよりも更に演奏がグレードアップし、曲も素晴らしく練られたアレンジになっている。
「在日外国人指紋押捺大反対」や「愛国者の真実の叫び」といった曲に込められたサワキ氏の魂は、単なる右翼バンドでは無く、真に国を愛するということだけをひたすら考え続けた末の産物であるように思える。憂国の念が、サワキ氏の意外にストレートで細めなボーカルで歌われたとき、ここにあるような美しい世界が姿を現し、何かを訴えるための道具ではなく、訴えるということそのものの姿として歌がそこに正座しているのが感じ取れるだろう。
日本のパンクという枠組みに最も適したバンドであると同時に、最も日本でのパンクを意識していたバンドだと思う。
伊藤耕と川田良の最強ロックコンビが組んだこのSYZE。「T.V.EASY」や「無力のかけら」など、SEX時代の名曲もアレンジ違いでここに再録。そんな最高のレコードなのに、知名度はいまひとつ。変形10インチ(くらいかな)という大きさのせいなのか、それともみんなフールズやSEXだけで満足しているのかは不明であるが、あの二人のファンであるなら絶対に聴く価値のある一枚。
本物のロックを演奏できる数少ないミュージシャンが伊藤耕と川田良であり、その二人の音源なのだからハズレなわけがない。そんな気持ちでこの盤に接すれば、絶対に後悔はしない筈であるし、根気よく中古盤屋の棚を漁る行為も報われるだろう。
ガチガチのロックンロールが好きだという人には、ぜひこのレコードを聴いてほしい。勢いのある音圧がロックとは何なのか? という初歩的な疑問を払拭してくれるであろうから。
カオティックハードコアとはこの盤で聴けるサウンドを指して使われる言葉である。
重量級の暴力性がパンパンに張り詰めた緊張とともに圧し掛かってくる90年代ハードコアの、まさに聖典ともいえる彼らのセカンドアルバム。それまで荒々しさとスピード感を主に売りにしていたハードコアは、ここにきて圧倒的な重さを全面に打ち出すことに成功した。これ以降、様々なバンドが音圧にこだわり始めたことを考えると、それは一種の転換期であったのかもしれない。
HIS HERO IS GONEのような、と形容されることを彼らは嫌がるかもしれない。だが、HIS HERO IS GONEは明らかに新時代のハードコアサウンドを開拓してみせたのだという事実は曲げられない歴史の一つなのである。
想像を絶する緊迫した空気が、この中には詰まっている。
元なんとかのベース、とか、そういう言い方はこのバンドに対して失礼に値するので、メンバーの情報についてはあえて語らないでおく。
イギリスの、とても美しい曇り空系のパンク。後のギターポップにも影響を与えた名作だが、意外に中身の音を聴いたという人は稀。なぜかは知らないが過小評価されている。
改めて音を聴いてみると、パワーポップである。この時代、ここまで完成度の高いポップパンクを演奏していた事実だけでも、このバンドの才能の豊かさが分かる。グレンのソングライティングのセンスは極めて良質だ。キャッチーでタイト。もはやこのジャンルにおいて敵は無いでしょう。
「Young Girls」
この一曲だけでいいから聴いてほしい。特に青春パンクとか好きな人、これが本物の青春パンクです。イギリスの当時を知るならグレンの元バンドの方を聴けばOKだが、リアルに薄暗い若者の心情を理解したければ、本盤に勝るものはないだろう。
まさに毒。一枚目が見つからなかったけど、METAL-CAT氏の資料提供のおかげで久しぶりにホット・ロッドをステレオで聴けました。感謝!!
チェルシーの作る曲はドラマティックなのに無駄がなくて好きです。ポイズン時代はヒラオカ氏も歌い方が荒くてワイルド。カッコ良すぎるメタリックハードコアです。
最近メタルコアという括り自体が消滅してしまいましたが、それでも彼らがいたことは伝説として語り継がれています。ギズムにはじまり、ポイズンやデスサイドを生み出した『へヴィメタルタイプのハードコア』は、形は違えど、現在のバンドたちにも多大な影響を及ぼしている筈です。
ポイズンの楽曲は現在入手困難かもしれませんが、根気よく探せば安く出てくると思いますので、見つけたら聴いてみてください。ちなみにポイズンアーツのCDはよくブックオフで激安販売されていますので、500円以下なら絶対に買いです。
ギズムのランディ内田率いるRUG(ランディ内田グループ)のレコード。
とにかくボーカルの外しっぷりが凶悪。ランディのプレイはいつもどおりだけど、このボーカルがとにかくすごい。普通、一般的にメタルといえばテクニカルなイメージなのに、このバンドに限っては何か別の次元に到達してしまっているため、演奏技術レベルは測定不能。
不可解な歌詞を無理やりなハイトーンボイスで持続するため、常に肉体の極限を表現してしまっているこのボーカルは、無意識のうちにヘヴィメタルという概念を粉砕し、自分だけのものとして消化している。
まさにワン&オンリー。偉大すぎる盤である。
たまに古本屋などで激安販売されているので、見つけたら絶対買った方がいい。三枚あったら三枚とも買うぐらいの気合いで挑まなければ、この盤に食われてしまうだろう。
これはメタルの名を借りた、異界へのパスポートである。
今ではすっかりお笑いバンド扱いされてしまい、誤解されたまま神格化され解散したXであるが、この時代のアグレッシブなハイスピードスラッシュは誰にも語られぬまま闇に葬られようとしている。
まず、ジャケットが死体。この時点で小泉純一郎は絶対に彼らのファンでないことが分かるだろうし、逆にこの一枚を知っていて、なおかつファンというような人間が政権を掌握しているなら、そんな国はおしまいである。
いまでも海外のコレクターは、このジャケを見て「クレイジー・ジャップ・コア!!」と大喜びなんだろうけど、バンドの末路を知っている国民にとってこれは喜んで受け入れられない類の代物であろう。太鼓担当ハヤシヨシキ氏も当時はグールのマサミなんかとも交流のある「ちょっとヘンなパンクス」の一人だったのに、今ではポップロックのヒーローである。それを踏まえたうえで、現在この盤に針を落とすのはとても切なく、いたたまれない気持ちになる。
速くてうるさくて、ちょっと下手だけど勢いのある曲。そんな若さの思い出が、この死体写真に包まれた一枚の塩化ビニールにたっぷり充填されている。
これを聴いて泣けてくるのは、僕だけだろうか?
(ちなみに、ジャケ資料提供はMETAL-CAT氏です。サンクス!!)
ししょうこと北嶋建也氏率いる関西の最重要バンド(?)のソノシート。
この謎の感覚こそ、関西の地下シーンの根底に流れているものだと断言しておきたい。
何にも似ていない、突然変異の演奏。北嶋氏は最近のアルケミーからのソロアルバムでも独自のソングライティングセンスを発揮しているので、合わせて必聴です。
ここまで純粋に自分の世界を構築できる人は稀少だし、日本のロック史に彼の名前が刻まれないのは間違っている。ブックレットも分厚く豪華なので、ここから入ってオルタネイティブな日本の音楽の深さを知るというのも、今年の夏の過ごし方としてはいいかもしれない。
ニューウェーブの香りのする本作は、スマート・ルッキンからの81年作ソノシート。
でも、多分誰も知らないよね。
一応、ひねくれたテクノポップとか好きな人にはオススメな内容。
ネットで検索してみたけどまったく反応せず、僕もべつにこのバンドに関しては何も知らない。ただ、こうして一枚のソノシートをせっかく聴く機会に恵まれ、ターンテーブルにのせて、それがなかなか良い内容だったのだから紹介してもバチはあたらないでしょう。もう僕はこのソノシートに対しての礼儀は果たしたので、あとは見つけた人が聴いて判断してください。
一言でいうと女性ボーカルのニューウェーブ。好き嫌いはあるだろうけど僕は好き。ただそれだけ。
脱力系などと勝手なレッテルを貼る人間は、このフリッパーの前では知識の無さを露呈する羽目になるだろう。まったくもって凶暴な、パンクという形態の中で最も危険な状態を作り出しているのがこのアルバム。スピードも強度も無い。ただ世の中に中指を突き立てる意味は心得ている。そんな彼らの元祖ストーナー的演奏はスラッジ感覚に満ちており、客を退屈させるには充分な倦怠ぶりである。
このだらだらした感じを新しいと感じるか、つまらないと受け取るか、それは個人の自由に基づいているわけだが、ここまで凶悪な音を無視するような態度はとりたくないものである。
誤解を恐れずに言えば、歴史的名盤である。
記念すべきワイパーズのファースト。「リターン・オブ・ザ・ラット」をはじめて聴いたときの衝撃は忘れられない。とんでもなく殺傷能力の高いグルーヴは、とても80年代初頭とは思えない破壊力である。
独特なポップ感覚も持ち合わせているし、当時の他のパンクとはまったく根を別にしたサイケデリックなグルーヴ感覚がなにしろ斬新で、グランジ勢が夢中になってカバーしまくったのも頷ける。
ささくれだったパンクの感触と、へヴィサイケの持つ重さを最初から保持していたのは、グレッグ・セイジという天才だけだったのである。
アメリカのロック史を語る上で、グレッグ・セイジの名は外せないだろう。
今回紹介した初期の三枚はセットで売られているので、比較的安価かつ簡単に入手可能であるため、未聴の方はぜひ聴いてみてほしい。素晴らしい体験を保障します。
激しいロック、というキャッチコピーで売られているほとんどの音楽は贋物である。実際に針を落としてみると、たいした激しさではなかったりするレコードがかなりの枚数存在しているのが現状だ。
そういった中で、このワイパーズはホンモノの激しさと、ヘヴィなグループを貫徹していた稀少なバンドである。グランジ好きなら、リターン・オブ・ザ・ラットやD-7といった楽曲をニルヴァーナがカヴァーしていたことや、マッド・ハニー、ダイナソー、ポイズン・イディアなどの後輩バンドに多大な影響を与えたことも知っている筈だ。本作のタイトル曲も、コートニー・ラヴ率いるホールにカヴァーされ、一躍有名になった。
そんなグランジ一派に大人気なワイパーズも、日本ではあまり人気が無いようで、知名度は極端に低い。僕は個人的にワイパーズで育ち、ワイパーズに憬れてバンドをやったりしていたので、そのような境遇が不思議でならない。どうしてこんなに良質なバンドが愛されないのだろう? そんな不満を解消するために、彼らの楽曲をよく演奏した。僕にとってこのバンドは偉大過ぎる。本当に大きな影響を受けたし、今後も若いロックファンに聴き続けていってほしい音楽だと思う。
本作は彼らの三枚目のアルバム。一曲目のタイトル曲「OVER THE EDGE」の重く激しい独特のメロディーは、いまだに色褪せてはいない。現在のラウド・ロックやへヴィ・ロックといわれているバンドの多くは、ワイパーズの模倣に過ぎないと言っても過言ではないだろう。
最高にイカシたバンドなので、是非聴いてほしい。
ヴォーカルに元リップのジャジャが入ったため、強烈な日本語が炸裂するようになったジャッジメントの最高傑作。この前出たばっかなのに、もう廃盤らしいです。
元愚鈍、バスタードのZIGYAKUと、元デスサイドのMUKA-CHINといった豪華面子で結成されたこのバンド、このシングルからジャジャの加入で、緊張感はマックスレベルに達しています。
真摯なハードコアとは、こういうサウンドのことを指して言うのですね。見事です。
一曲目からジャジャの言葉が痛いほど突き刺さってくるし、極められたハードコア演奏の発する熱量は想像を絶する凄まじさ。こんなに命がけな音楽はまず無いでしょう。絶対必聴!!
ガス二枚目のソノシート。一枚目もいいけど、ナルミさんのヴォーカル(というか頭)が好きなんでこっちを。
ハードコアですね、改めて聴くと。これ以降はだんだんポップになって、ナルミさんも歌い方が変わっちゃうんですよね。そういった意味ではここでのGASが一番好きです。もちろん、これ以降の音源もオススメなんですけど、今度まとめて再発するそうなので、聴きたい人はそちらを購入してみてください。
以前リーンカーネーションという中期ベストみたいなアルバムがキャプテン(だっけ?)から出てましたけど、本作や1stソノの音源も今度再発されるCDには収録されているらしいので、楽しみです。マスタリングされた良い音質でGASが聴けるなんて、いい世の中になったものです。
自殺することは一つの決定であり、覚悟の結果である。自らを殺害することの決意はしかし、常時内面のみで完結してしまう。そしてそれが外部に及ぼす影響などたかが知れている。
ここにある自殺は、優れた決意であり、外部へ多大な影響を与えた偉大なる自殺である。
セクシャルの勢い、自我の切れ味、コンフューズの爆発力、そしてエリート集団M-78の知性が織り成す自殺曼荼羅は、輝かしくも不気味にその存在を誇示し続けている。
内面へ向かっていた筈の力は、いつしか世界中へ作用するようになった。20年も前に放たれたその力が、今もこうして作用していることに驚きを隠せない。
ツェッペリンといえばストーナー度マックスの初期とか、フィジカル・グラフィティの寄せ集め感が最高なんだけど、このアルバムの地味さは誰にも評価されていない。
多分人気の無い理由はギターが不必要にチャカついてるからで、本来のジミーペイジのプレイに見られるへヴィなスラッジ感覚が削ぎ落とされてしまっている。そんな本作を支持する者は、ハードロックファンからは後ろ指を指されるのだろう。僕はもちろん好きだけど。
ジャケットもかなり奇妙な違和感を演出しており、ちょっと「ヤバい」感じである。いったい何を考えてこんなアルバムを発表したのか、分かりかねる部分もあるが、ツェッペリンを聴くならまずこれを聴いてほしい、と個人的に思う。
この異質な感覚こそ、来るべき新時代のへヴィロックに必要な要素である。