2006年09月のアーカイブ

トラッシュ 「虎祭音頭」

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 この盤の凄さはやっぱりタイガーKさんのパワーにあると思う。
 いっけん企画ものっぽい印象を持ちそうだが、中身は不思議なロッキンパンクでおもしろい。
 がちがちのハードコアを期待して買わなければ、かなり楽しめる名盤だろう。
 ゲストコーラスも何気に豪華面子で、ジャジャ、マサミ、ヒロト、グレイトリッチーズなんかが参加している。愉快な7インチだ。
 パステルおばさんは名曲だと思う。

投稿者 asidru : 14:02 | コメント (0) | トラックバック

ROAD WARRIORS 「GO TO HELL」

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 本作ではニッキーではなく、ケイゴが唄っていますが、それがかなりかっこいいです。
 一説によるとドラムはケイゴではなく、タツヤが叩いていたという話もありますが、どうなんでしょう?
 ニッキーもこのEPにクレジットだけされていますが、正式な加入時期は謎です。
 そんなレコードですが、やっぱり直球ロックンロールですごくかっこいいわけです。
 ケイゴさんのボーカルはいい雰囲気が出ているし、ニッキー加入前のロード ・ ウォリアーズがバンドとして良いものを持っていたということを実感できます。
 これもそんなに高い値段はついておらず、中古屋で500円くらいで売ってますので、見かけたら手にとってほしい一品です。
 店によっては5000円くらいするかもしれませんが、安く見つかるとおもうので、諦めずに根気よく探してみてください。

投稿者 asidru : 17:17 | コメント (0) | トラックバック

greenthink 「blindfold」

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 cLOUDDEADのファンならば、本作も聴いておいて損は無い。
 自由奔放な、ヒップホップの名を借りたエクスペリメンタル精神と遊び心の詰まった大作であると思う。ゲストも豪華で、Jel, Boom Bip, Sole, Odd Nosdam, Mr Dibbs, Circus, Nobody, Slugといった面子が参加している。
 1999年にリリースされた本作だが、最近になって再販しているようなので、気になっていた方はこの機会にぜひ手にとってみてほしい。
 アヴァンギャルドの中に無邪気なポップさを持ち込むことが、ヒップホップという形でも可能なのだということを見せ付けた歴史的一枚だと思う。
 また、いわゆる現代音楽やノイズ・コラージュからの派生ではなく、純粋にヒップホップで遊ぶことを突き詰めているという姿勢も評価したいと思う。
 サウンド自体が持っている魅力も相当なものなので、おもしろい音楽を求めているならばここを通っておくのは正解だろう。

投稿者 asidru : 21:58 | コメント (0) | トラックバック

MINK OIL

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 強烈な7インチ!! これは何度も聴いたし、聴くたびに熱くなれる最高のシングル。
 スタイリッシュな暴れ方というか、どこかシャープな輪郭があると思う。
 MINK OILはやっぱりセンスもいいし、音の完成度も高いハードコアだ。スケーターの少年とかにもぜひぜひ聴いてもらいたい直球疾走コア。
 マイナースレットあたりの音が好きなら問答無用でオススメしておきたい一枚。
 ここまでかっこいいのに音源が少ないのだけが非常に残念である。

投稿者 asidru : 15:34 | コメント (0) | トラックバック

LIBIDO 「RYU-SA」

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 成田弥宇氏は、自らの立ち位置をしっかりと把握し、実直な姿勢でLIBIDOという一つのシステムを動かしていたのだと思う。生きていることのリアリティ、音楽表現ということへの可能性。成田氏の地を引きずるような陰鬱なサウンドは、表面的には暗黒が広がっているように見えるかもしれないが、奥底でしっかりとそれらを纏っているものが確実な「生」のリアリズムだったことが、リビドーの世界を支持する者がいまだに多いということの解答なのかもしれない。
 本作「RYU-SA」もまた、リビドーというバンドの美しさを知るには良い一枚である。
 例によって、何にも似ていない、独自の音楽がリビドーのサウンドとして息づいている。ファーストよりも演奏、音質ともにまとまりがあるため、作品としてクオリティの高いアルバムである。
 ロック、サイケ、ポジパン、プログレ、民族音楽などのエッセンスは多分に吸い込んではいるが、それらを外に出す際に成田弥宇という呪術師のフィルターがかけられている。そして、それは確固たるリビドーのオトなのであり、何かと比較することは明らかに無駄な行為でしかなりえなくなる。
 29歳の若さで亡くなった成田氏であるが、いまだにその魅力に触発されて「リビドーのような音」に憧れるバンドは多数存在している。それだけ、あの輝きは絶大だったのだ。

投稿者 asidru : 21:51 | コメント (6) | トラックバック

チフス

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 原点。
 何も言うことはない。
 ここから全てが始まって、それはいまだに動き続けている。
 ハードコアパンクの精神が日本で独自に開花したことを証明する、加速した存在の切れ味が鋭すぎるソノシート。
 いまだに再発されず、何万もの値がつく本作が伝説になるのは仕方がないとしても、このカッコイイサウンドと初期衝動の興奮が、変なプレミア値のせいで遠くへ行ってしまうのはなんだか悔しい。
 タムのギターも、ここでは初期衝動的なパンクの勢いをしっかりと放出しているし、スターリンは聴けるのにチフスが手に入らないという現状は、なんだかタムのファンにとっては切ないような気がする。
 このチフス、あとミドルクラス、ハロウィン、変態クラブあたりの音源が正規に発売されるならば、かつてのファンからこれからのパンクスまで、幅広い層にとって嬉しい時代になるのでは? と思うと、夜も眠れないのはとらぬ狸のなんとやら。
 でもそんな時代になってほしいものだ。

投稿者 asidru : 20:05 | コメント (11) | トラックバック

武部行正 「ゆふすげびとのうた」

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 ニューロックの夜明けシリーズの後半に紙ジャケ再発でリリースされた極上のフォークアルバム。
 オリジナルはビクターからの発売だったにも関らず、ほとんど無名という状況であったのだが、再発にて本盤を手にし、その素晴らしい世界に打ち震えたという人は多いと思う。
 あまりに優しく、とろけるような怠惰と紙一重の日常が軽やかに歌われる。
 「こんないい日は久しぶり」などは休日の昼下がりにのんびりと聴きたい名曲であるし、ここまでの日本のアシッドフォークの名盤が埋もれていたままではもったいないので、最近よく聴いている。
 精神的に、しっかりと日常と向き合うのではなく、生活の中で生まれた心象風景を日記のような感覚でうたい上げてしまうところが、武部行正という人の魅力であり、この盤ではそれを最大限に盛り上げるべく、西岡たかしを筆頭とする豪華メンバーがバックアップしている。
 最近ではCD盤も見なくなってしまったが、見かけたらぜひ手にとってほしい一枚だ。

投稿者 asidru : 18:12 | コメント (0) | トラックバック

Barbara Keith

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 一曲目、All along the watchtowerのカバーが最高なバーバラ・キースのセカンドアルバム。
 98年に夫と息子がメンバーという凄まじいバンド、Stone Coyotesにて復帰したが、ここにあるような世界ではなくハードロック系の土臭いサウンドで、このアルバムのファンからはあまり評価されていない。Stone Coyotesのサウンドはそれでも、なかなかに味わい深いモノであるので、興味がある方は別物として聴いてみるのもいいかもしれない。
 本作は長い間、いわゆるレア盤であり、最近になってCD化され、日本盤も出ているようだ。日本ではAll along the watchtowerのグルーヴ感が人気を呼び、一時はクラブヒットしたぐらい知名度はある。
 たまに家でかけると、気分が高揚するので個人的に重宝している一枚。

 

投稿者 asidru : 20:30 | コメント (0) | トラックバック

BRIDGET ST JOHN  「Ask Me No Question」

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 初めて訪れた街で、なにやら古びた喫茶店を発見し、店内へ入ると唐突にこのような音楽が聞こえてくる瞬間の図式こそが郷愁なのだと思う。
 落ち着いたフォークソングを聴きながら、濃いコーヒーを飲むのはしかし、ハードコアパンクで踊り狂いながら酒を浴びるように飲む感覚とどこかで通じていて、その連絡通路の間に座り込んでいるものこそが、我々が求めてやまない本質なのだと思う。
 BRIDGET ST.JOHNのハスキーな声には、沈みこみながらその場所一点を見つめ続けるような感覚があり、その視線の先がゆっくりと焼け焦げていくさまを眺めるのが、僕らの休日の過ごし方になっているのかもしれない。

投稿者 asidru : 20:04 | コメント (4) | トラックバック

Chapterhouse

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 シューゲイザー大名盤。にもかかわらずずっと廃盤だった本作が、最近いきなり再発されていてついつい買ってしまった。
 内容はいいですし、ボーナストラックまで入っているので、当時シューゲに夢中だった皆には聴いてほしい再発アルバム。
 マイブラ(初期)がノイジーなアノラックサウンド、ライドがソリッドな発展系ニューウェイヴ、スロウダイヴがドリーミーサイケの拡大であったのに対し、このチャプターハウスはマンチェサウンドのシューゲイザー化であったような印象が深い。
 ただ、改めて聴いてみると、むしろシューゲイザー的な展開が根本にあったところへ、マンチェの風を送り込んだような仕上がりになっている。
 時代を代表する名盤や奇抜な作品ではないけれど、良質な音楽が聴ける一枚として推薦したくなるアルバムだ。

投稿者 asidru : 19:17 | コメント (0) | トラックバック

SPIKE DRIVERS

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 ヴェルヴェット風味と言われればそうかもしれないけれど、VUと同時代にこのサウンドという事実が興味深いのであって、ここにVUと同じ深淵を覗こうと思って大金を支払うのはやめておいた方がいい。
 60年代のデトロイトにこのような音楽が! という驚きを感じないという人にはまったくオススメできないけれど、当時のサイケデリックを掘り下げようとしている方には必ず聴いておいて欲しい一枚だと思う。
 エコーのかかり具合が何ともいえない美しさで、遠方の駅の改札まで来て切符を落としたことに気づくような絶望もややあり。
 ポップなエッセンスもあるので、マニア以外の人にぜひ聴いてもらいたいアルバムである。

投稿者 asidru : 19:08 | コメント (0) | トラックバック

Paul Adolphus 「The Dawn Wind 」

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 オーストラリア人、Paul Adolphusがなぜか京都に住み着き、東山の卑弥呼レコーズ(オクノ修のファーストなどをリリース)から出したというレア過ぎる一枚。この度350枚限定で復刻したが、あまりの情報の少なさに売れ行きは芳しくないようで、いまだ在庫はたくさんある。
 内容は美しすぎるアシッドフォークで、日本のフォークシンガーよりもジャパニーズテイストを感じさせてくれる素晴らしいアルバムになっている。書道教室の一室で録音されたらしいが、まさにそんな京都の美しさ、素晴らしさを凝縮したステキな音楽であることは一聴すると良く分かる。
 再発盤はジャケや盤も丁寧に復刻されていて、コレクターでなくとも一枚所有したくなる良い仕上がり。太陽+釈迦というジャケデザインのセンスも抜群である。
 こういったレコードをコレクターの手だけに収めておくのももったいないので、若いミュージシャン志望の子たちにできるだけ聴いてほしい。音楽の美しさや楽しさ、日本で音楽をやることで見えてくるものを実感できる大名盤だと思う。
 Paul Adolphusという人の心象風景は、使い古されたヒッピー文化やジャパニーズ幻想とは違ったピースフル・サイケの形をしている。70年代の京都にこんな音楽があったことを、驚くのも楽しむのも、現在になってこれが再発されたという事実を前提に行うのだから、やはりレア盤の復刻に私個人としては賛成である。


ps.Mrエレクト様、本作のことをお教えいただきありがとうございます。これはすごい。。

投稿者 asidru : 19:12 | コメント (7) | トラックバック
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