LIBIDO 「RYU-SA」

libido.jpg

 成田弥宇氏は、自らの立ち位置をしっかりと把握し、実直な姿勢でLIBIDOという一つのシステムを動かしていたのだと思う。生きていることのリアリティ、音楽表現ということへの可能性。成田氏の地を引きずるような陰鬱なサウンドは、表面的には暗黒が広がっているように見えるかもしれないが、奥底でしっかりとそれらを纏っているものが確実な「生」のリアリズムだったことが、リビドーの世界を支持する者がいまだに多いということの解答なのかもしれない。
 本作「RYU-SA」もまた、リビドーというバンドの美しさを知るには良い一枚である。
 例によって、何にも似ていない、独自の音楽がリビドーのサウンドとして息づいている。ファーストよりも演奏、音質ともにまとまりがあるため、作品としてクオリティの高いアルバムである。
 ロック、サイケ、ポジパン、プログレ、民族音楽などのエッセンスは多分に吸い込んではいるが、それらを外に出す際に成田弥宇という呪術師のフィルターがかけられている。そして、それは確固たるリビドーのオトなのであり、何かと比較することは明らかに無駄な行為でしかなりえなくなる。
 29歳の若さで亡くなった成田氏であるが、いまだにその魅力に触発されて「リビドーのような音」に憧れるバンドは多数存在している。それだけ、あの輝きは絶大だったのだ。

投稿者:asidru 2006年09月14日 21:51

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.asiandrug.jp/mt-tb.cgi/781

コメント: LIBIDO 「RYU-SA」

その昔エッグプラントで見ました。
今でもあのグワングワンとした音と正体不明なステージ?
を思い出されます。
パンク系ばかり見に行ってましたので
ある種新鮮なものを感じました。
リビドーって辞書で調べてなんとなく納得したりしてw
ちなみにこの時の対バンはアウシュビッツだったような・・。

投稿者 SHINZI : 2006年09月15日 15:01

貴重ですね!!
リビドーとアウシュビッツ。。見たい組み合わせですね~。
アウシュビッツも最初はあんまり聴いてませんでしたが、あとからガツンとやられました。
あの渋い音は大好きです。

投稿者 森本 : 2006年09月15日 15:33

このレコード、昔のバイト先からお借りしてそのまんまです〜(笑)
LIBIDOは昔、新宿LOFTで観たのが最後かな...。
最前列にいたのにLIBIDOの音に持っていかれてしまって
不意にガコンっ!と寝てしまって...
汗がボタボタっ!ち落ちてビックリしておきました(笑)
それくらい深くもってかれる音でした。

投稿者 Y : 2006年10月10日 19:44

>Yさん
どもです!
成田さんのタバコがハイライトだったと知ってちょっとうれしくなったこのごろです♪

投稿者 森本 : 2006年10月10日 20:32

個人的には『L'ete』という作品に収録されたヴェルヴェッツの『毛皮のヴィーナス』のカヴァーが愛おしいですね。

投稿者 小川 : 2006年11月21日 12:42

毛皮のビーナスを聴きたいがためにあれを購入しました(笑)。

リビドーの曲はどれも妙に気持ちいいですね。。

投稿者 森本 : 2006年11月22日 14:40

Search