北村早樹子 「聴心器」

北村早樹子.jpg

 うたが自立している風景を見ることができるなら、ここにある場所が心地よい。
 なんとなく買った一枚であるが、とても素晴らしかった。
 なんというか、久し振りにいい買い物をした。

 うたうという行為を徹底的にただそれだけの行為として表面へ浮き上がらせることは、思った以上に難しい作業であり、それをここまで完璧にこなしてしまう北村早樹子という才能には脱帽である。
 日本語であることや、うたであることに拘りすぎてダメになってしまう歌い手が多い中で、この素直さは本当に素晴らしいと思う。一枚目にして大傑作だ。

 音楽に思想や文化的な意味合いを持ち込むことは間違ってはいないが、ここにあるような透明な世界を描くためには無駄な装飾などいらないのであり、彼女が優れた作家であることを窺わせる出所の隠蔽された詩世界もまた秀逸だ。
 一体どのようなバックグラウンドを持った人なのか非常に気になるところであるが、ここにあるうただけを切り取ってみても、良質なものであるということは判断できる。
 表現の可能性とか、文化的な位置づけなんてものは本来どうでもいいことなのである。

 ゆったりとした時間に、じっくり聴いていたい一枚。

投稿者:asidru 2006年04月01日 22:40

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