Jackson Browne

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 初期ジャクソン・ブラウンの良さは歌詞にあるとよく言われているが、本当は三作目までのあの霊的なアコースティック・サウンドがそれを引き立てていたことはあまり語られないでいる。
 一枚目ではもっともストレートな形でジャクソン・ブラウンという男の世界が表現されているが、あの質感の完璧さや、生活感の溢れる空気を社会的なステージを意識させる歌詞を前にすると、思わずため息が漏れる。
 やはり彼の世界は地に足の着いた理想を引き寄せるような、広く一般的すぎる努力の過程をドラマティックに構成しているようにも思える。
 ここで薄汚い政治性を持ち出さなかったのは、やはり彼が詩人であり、フィクションの中での作業を望んでいたからだと思うし、あの不思議な土の匂いが混ざったサウンドを耳にすると、その心地よい世界にしばらく滞在したくなる欲求にも駆られる。
 後の彼はバンドサウンドを強化してしまい、初期の頃にあったような美しい風景は描かなくなってしまった。それはLate For The Skyで涙した我々にとっては大きな喪失である。
 久し振りに彼の一枚目を聴きなおすと、忘れていた風景がふいに思い起こされたりして、なんだか切なくなる。

投稿者:asidru 2006年03月23日 19:11

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