凝解、その後 書き手・森本
世の中の右と左そしてうしろ 暗がりで笑う人をみたときや 銀行のATMで現金を取り忘れたときに なんとなく読むブログ
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2006年02月03日
大場久美子
大人になれば チョコレートたべて いろんな事を考えるものさ 『大人になれば』
一億人の妹、二代目コメットさん、衝撃のヌードなど、大場久美子に対するイメージは色々とあると思うが、その歌手活動の側面はあまり語られないままになっている。
つい最近、Arctic Monkeysというのが良いらしいと聞いてレコード店へ行ったのだが、間違えて大場久美子のファーストアルバム『春のささやき』を買ってしまった。
それまで、私はデビュー曲の「あこがれ」ぐらいしか知らなかったのだが、アルバム一枚を通して聴いてみて初めてこの良さに気がついた。
サウンド的には職人気質の作曲家たちによるソフトロックの歌謡曲的解釈なのであるが、作曲者の意図を全て破壊せんばかりに自由闊達な久美子のボーカルが炸裂しているため、まったく別の音楽として機能してしまっている。
彼女の歌こそ模範的な本来のアイドル歌謡曲であり、革新的なまでの斬新なスタイルであったと思う。
とにかく私的に詩的に深く入り込んでくる曲間のナレーションが秀逸であるが、もともとの楽曲そのものがクオリティの高いものであることが、さらに彼女の素晴らしい歌唱を後押ししている。
ラストの「電話ください」の歌いだしが森田童子ばりのサイケデリック空間へ突入しているのは、大場久美子の歌唱がもともと歌謡曲という使い古されたフォーマットにそぐわない成分を含んでいるからであり、革命的な歌手としてもっと認識されるべきだと思った。
全国のサイケデリック・スピード・フリークスは何も言わずにこれを聴いた方がいい。あと近年の希薄な歌謡曲にうんざりしている方にもオススメしたい。これをプレイヤーにセットすれば、それまで信じていた歌謡曲のヴィジョンが痛快なまでに破壊されていく光景を見ることになるだろう。そこからがあなたのパンクムーブメントの夜明けである。
何も信じなくてもいい、ここにあるナチュラルな日常の裏側を受け止めればそれで何かが変質するのであるから、その感覚だけを抱いて落ちて行けば良いのである。
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以前に物真似番組で、”ゆうゆ”が”大場 久美子”の物真似をしてご本人登場した時は昇天しました・・・。
投稿者 ＭＥＴＡＬ－ＣＡＴ！ : 2006年02月03日 14:12
ＭＥＴＡＬ－ＣＡＴ！さん、それって15年くらい前のやつですよね？ 記憶が曖昧ですが、多分見てました。
ゆうゆはマイナス３℃が名曲だと思います。
投稿者 森本 : 2006年02月03日 17:06
大場久美子も「艶」をとても強く感じる時期がありました。あの不思議な雰囲気は今でも不思議です。これを「オーラ」とかって呼ぶのでしょうか。。
投稿者 zuma : 2006年02月04日 01:25
佇まいからして異質な何かを感じますよね。
日常的でない別の感覚かもしれません。
おそらくそれがドラッグなどでもたらされる精神変容に似ているが故に、大場久美子の声がサイケデリックに響くのでしょう。
すごいヒトです。
投稿者 森本 : 2006年02月04日 19:34
コラムを読んで大場買ったが、よくなかった。声も嫌い。
投稿者 BENJAMIN根津 : 2006年02月05日 08:43
嫌いですか…。ではアイドル歌謡はやめておいた方が良いですね。パンク、ポストパンクもオススメできません。
そういう場合は、スロッビンググリッスルを聴いてから、もう一度これを聴き直してみて下さい。それでもダメな場合はブリジット・フォンテーヌの「ラジオのように」を三回ぐらい聴いたあとにこれを聴いてください。
それでもダメならもう無理です。
投稿者 森本 : 2006年02月05日 22:45
私は好きですよ！当時「あこがれ」を聞いてから精神変容に陥っている一人です。いい歌（曲）だと感じていた基には、コラムの「意図」があった事に今更ながら納得しました。
このアルバムは一度、それなりのヘッドホンで聞いて下さい。特に『大人になれば』の演奏は何度聞いても「彼女の素晴らしい歌唱を後押ししている」スピーカーからでは感じ取れないクオリティーを感じることが出来ると思います。
投稿者 ｔｏｓｈｉ : 2006年03月11日 21:50
これは本当に深いアルバムです。ここまでのものは国内外を見渡してもそう見つかるものではありません。
ヘッドフォンでじっくり世界に浸ると凄いですよね。歌声がこの世のものとは思えないぐらい際立っています。また、室内の灯りを消して聴くと、更に深いところにたどり着けますが、これ以上はマズイと感じたらすぐ引き返すのが得策ですね。
投稿者 森本 : 2006年03月12日 20:02