世の中の右と左そしてうしろ 暗がりで笑う人をみたときや 銀行のATMで現金を取り忘れたときに なんとなく読むブログ
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ついにこのシリーズも六回目。さすがに記述ばかりで音源のリリースはまだか! と熱心なスラッヂファンから怒られてしまいそうなので、ややスローペースにしてみました。
まだまだ書くことはたくさんあるのです。
今回はスラッヂ関連の作品の中でも、最もその存在が知られていないEPを紹介したい。
これはもうスラッヂ云々ではなく、ひとつのニューウェーブとして聴いてもらいたい音源である。スガワラ氏が女の子二人を連れてきてスラッヂの「夜光少年」などを録音しているのだが、今現在にこそ聴かれるべき種類のテクノポップであると思う。
手作り感覚に溢れたジャケット、女の子の素直な歌、そして不可思議なアレンジ。
当時のシーンにおいても、これをカテゴライズするなどというのは愚かしい行為であろう。まったく何にも似ていない極私的な音楽だ。突然変異というよりは、別の現実に在り続ける感覚である。
楽曲の打ち込みのリズムは、一聴するところ、TR808あたりのキック音に聴こえなくもないが、実はドクターリズム一台で長時間を費やしてシーケンスを組んだものだという。これは昨今の何でもデジタルで簡単に編集をしているテクノ系ミュージシャンにはマネのできない偉業である。ローランドのリズムマシンを使った者なら分かると思うが、あれを別のシーケンサーに同機させるというのは相当な労力を要する。せっかく組んでも微妙にずれていたり、不可思議な効果によってスネアの音が消えてしまったりと、幾たびのハプニングに見舞われるのである。
そんな大変な作業で、大抵は出来上がってもしょぼいだけのテクノポップ止まりというのがオチなのであるが、このシングルはあのキック音のチープさが逆に良い方向へ作用していて、苦労が実っているように私には思える。
もともとの曲がカッコイイというのはあるが、アレンジにおける執念といった視点からも、私はこのシングルを評価したい。素晴らしいニューウェーヴサウンドである。
スラッヂといえばスガワラ氏の迫力のある捻れたボーカルというイメージがあるが、ここでは女の子ボーカルの起用によって完全にポップな別の曲として「夜光少年」も生まれ変わっている。スラッヂの音楽が好き、というヒトが聴いたら「?」と思うかもしれないが、私は別モノとしてこれは良質なレコードだと思う。
興味深いのは、現在音響系ヒップホップと呼ばれている音楽に質感が似ていることだ。敢えてこのようなビートを持ってくるヒップホップ系の人たちは多いし、ポップな楽曲も新しさがある。似ているヒップホップアーティストは…、アンチコン周辺のWhy?あたりだろうか。ロックのスタイルをヒップホップのビートで、なおかつポップで奇怪な装飾もつけて提供しているというのは、なかなか凄いことであると思うのだが…。
補足すると、このシングルは、当時18歳の専門学校生であった島田春美さんと14歳の女子中学生の子が歌い(スガワラさんも後ろで歌っているが)、スラッヂとは違う質感でありながら、どこかが共通したあの狂った感じを堪能できるというレコードである。プレス数は500枚ぐらいで、そのうち何枚売れたのかは不明である。
できればこれも再発したいなぁ…。とは思うのだけれど、一刻も早くスラッヂ本体の方を世に送り出したいので、ひとまずは紹介だけさせていただきました。でも、いずれはこれも正式に出したいです。
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再度ギャルソン登場!
是非聴いてみたいですね。
投稿者 紅茶っ! : 2007年06月01日 23:09
>紅茶さん
名作です!
投稿者 森本 : 2007年06月02日 19:07