ピンクカット 太く愛して深く愛して

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 日活ロマンポルノの名作が来月一斉にDVD発売されるらしい。
 で、そのラインナップを眺めていると、ああ、こんなのあったなぁ…と感傷的な気分に浸ることが出来て、DVDを買わずとも満足のいく時間を過ごせた。
 日活はやっぱりちゃんと作られた映画が多く、テレビドラマを見るより遥かに充実した内容なので、高校生の頃は夢中になった。アンモニアのニオイが立ち込める荒れ果てた映画館で、500円程度を支払えば一日中ロマンポルノを鑑賞できるのだから(3本立てとか)、貧乏学生としては普通の洒落た映画館に行くぐらいならピンク映画を観る、という図式が当然のように出来上がってしまっていたからだ。
 この「ピンクカット~」もそんな頃観た一本である。
 監督の森田芳光の作品は、先に「の・ようなもの」を観ていたのだが、僕は「の・ようなもの」にはあまり感銘を受けなかった(というより森田監督独特の感性が苦手に思えた)ので、この作品も観る直前まで森田作品だとは思っていなかったし、特に興味も無かった。
 映画を観終わっても、「ふーん」という感想しか持てず、すでに次の映画に突入していたため、ものすごく希薄な印象でしか僕の記憶には残らなかったのである。
 で、数年前のこと。ビデオでなぜか出ていたので、なんとなくレンタルしてみた。
 確かに軽いタッチで、他のロマンポルノのようなドロッとした感じが無く、80年代のセンスに満ち溢れた映画であったのだが、舞台が僕の地元であり、今では無くなってしまった下北沢や梅ヶ丘の町並みを楽しむことができる。その再発見があったおかげで、この映画の印象はアップしたのだが、他の点ではどうにも評価しづらいのでここでは書きません。
 ちなみに、この映画の舞台となった床屋、現在でも存在している。そこを通る度にこの映画のことを思い出してしまうのは、おそらく現実と映画の中の風景が重なったときの「曖昧な感じ」に僕が惹かれるからだろう。フィクションと現実が記憶の中で曖昧になっているあのもやもやした感じが、映画鑑賞を一過的な娯楽に留めないためのきっかけになりうると思うのだが…。

投稿者:asidru 2005年09月15日 17:42

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コメント: ピンクカット 太く愛して深く愛して

昨日はコメントしようと思いましたら、出来ない状態でした。
映画鑑賞を一過的な娯楽に留めないためのきっかけってありますよね。私はそれがいつか思い出したいのですけど。。
特定できませんけど、多分大学の時にいっぱい見ていたので、その過程でキッカケがあったと思います。

日活ロマンポルノ、私の先輩もいつも「また見たい」とか言っています(笑)。私は残念ながら1本も見た事ないのです。すみません。

投稿者 zuma : 2005年09月17日 09:26

日活は地味だけど何か魅力があって、今度のDVDは何枚か買ってしまいそうです。
レンタル落ちしてから観てもいいんですけどね。

あっ、コメント投稿先日一日ストップしてました。すいません…。現在なんとか動きましたのでよろしくお願いします。

投稿者 森本 : 2005年09月17日 10:36

日活ロマンポルノのDVD化ですか。知りませんでした。
有益な情報有難うございます。
「レイプハンター 狙われた女」も出ますよね。
これには、松田優作がゲスト出演しています。この作品の監督が澤田幸弘氏で、友情出演のかたちのようです。
これが入手できれば、優作の劇場作品に関してはすべてクリアになっちゃいます。(VHSダビングがほとんどですが。)

投稿者 AUM : 2005年10月08日 10:21

レイプハンターも出ると思いますよ!
あれはなかなか面白かったと思うのですが、あまり詳しく内容を覚えてません。
優作といえば7、8年前に大井武蔵野館で特集上映してて観に行きました。探偵物語はあまり好きじゃないんですけどね…。

投稿者 森本 : 2005年10月08日 11:35

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