世の中の右と左そしてうしろ 暗がりで笑う人をみたときや 銀行のATMで現金を取り忘れたときに なんとなく読むブログ
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久生十蘭といえば「黒い手帳」。
探偵小説の概念をすべて粉砕し再構築した凶悪な作品である。
魅力はその物語としての構造、及び「探偵小説である」というカテゴリを見事に破壊したことにあり、今でもこの短編は新鮮な衝撃を伴って我々の前にある。
これからこういった古典作品が正当に評価されないならば、探偵小説の復権などありえないし、かつての熱いマグマのようなどろっとした興奮は二度と甦らないだろう。
若手作家は今一度「黒い手帳」を読んで、ミステリに夢中になった「あの頃」を思い出して欲しい。すべてが魅力的だったアンダーグラウンドなあの香りにもう一度浸って、面白い小説について一度考え直してみれば、娯楽としての文学が新しく発展していくことができると思う。
まぁ、『攻略法などない』わけだが…。
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