高柳昌行 NEW DIRECTION  「live independence」

高柳昌行.jpg

 球体の中心を範囲の概念を無視して定めるのならば、それは点となるのかそれとも球体となるのか。
 どちらにしろ生活的ではない、もしくは日常との関連性が無いという理由で我々が関心を持たない問題は多々存在している。
 例えばA地点からB地点へ行く時、A→Bを直線で結ぶと、その線には無限の点があるため、Aを出発した人は永遠にBにはたどり着けないということになる。ところが、AとBを「自宅」「駅」などに入れ替えて考えると、常識的にはおかしなことになってくる。我々は常にそのA→Bへの移動を行っている訳であり、それが「不可能」だなどといわれる筋合いも根拠も無いのだ。
 というような、思考の途中(この場合A→Bの移動の問題)であからさまにおかしいという猜疑の気持ちが芽生えてしまうと、次にやってくるのは「どうでもいい」という放棄・諦念である。そしてこの放棄のパワーというものが絶大なのだ。
 高柳昌行のギターは大音量で全ての聴き手の思考を放棄させてしまう。爆撃のような演奏が開始され、それがまったく通常の音楽ではないと聴き手が判断したと同時に、その思考を根こそぎ刈り取ってしまうのである。
 まさに観念の芝刈り機のような彼の演奏は、今もなお絶大な影響力を持って我々の音楽に対する思考を初期化させてくれる。下手な理念や思考を開始する前に、高柳のギターは概念の核爆弾のように脳内で爆発し、すべてをストップ、無効化してしまうのである。
 驚くべきその演奏は、数々の作品で聴くことが出来るが、本作でのわりと聴きやすくライヴということもあって効果的なギターこそ、まず最初に聞かれるべき演奏であると思う。

投稿者:asidru 2005年08月27日 20:43

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コメント: 高柳昌行 NEW DIRECTION  「live independence」

うーん、不勉強ですいません。。初めて聞きます。。
どのあたりのヒトと交流があったのでしょうか?

投稿者 zuma : 2005年08月28日 09:30

日本のフリージャズ界ではかなりの大御所です。
色々と共演してますが、阿部薫との解体的交歓などがいいです。
ニューディレクションは三里塚の幻野祭にも出ていて、最近再発されましたが、周りのロックバンドよりもでかい音を出しており、ライヴでの凄まじさがよく分かります。
あまりポピュラーな人気がある人ではありませんが、デレク・ベイリーより個人的には好きなギタリストです。

投稿者 森本 : 2005年08月29日 00:18

難解ですが、はまっちゃうと抜けられない世界ですよね。
フリージャズ創成期の方々の破天荒な生きざまが伝説となって語り継がれ、比較的良識派の吉沢元治さんも鬼籍に入られた現在、豊住さんや灰野さん、後世代の大友さんなどには頑張ってほしいです。
それにしても、この頃のフリージャズの方の演奏って、ホント戦いというか潰し合いみたいな殺気があり、馴れ合いみたいのが一切ないのが凄いです。

投稿者 吉澤 : 2005年09月01日 04:41

一度入ったらもう抜けられないです。
この時代のフリージャズほど、輝かしい演奏が密集している地点は他に無いです。
最近の若手フリージャズの方々の演奏も好きですが、やはり原点を踏まえた上で演奏になってしまうのはいいことなのか悪いことなのか…。
演奏する、ということに命をかけた人達の記録に、こうして現在でも触れることができるのが幸せです。

投稿者 森本 : 2005年09月01日 14:45

「AA」を観てきました。
まさにフリージャズ創成期の雰囲気が
濃厚に感じとる事が出来る、いろんな意味で
大変勉強になる作品でした。
高柳昌行の事にも結構触れていて
間章は高柳との蜜月期に、すでに間が晩年傾倒する事になる
デレク・ベイリーについて論じあってたんじゃないか
みたいな興味深い話を大友氏が(確か)してました。
あと、高柳は年間ベスト5に5枚ともデレクの作品を
挙げるほど傾倒していた時期があった事なども。
同シリーズの「CALL IN QUESTION」も凄まじいですよね

投稿者 M : 2007年04月08日 15:40

>Mさん
「AA」、観られたのですね!
気になっております。
デレク・ベイリーは高柳にとってはアイドルみたいな存在ですからね~。間章と論じあっていたとしても頷ける話です。
CALL IN QUESTION、すごい音ですよね。
この時期のフリージャズの人たちの演奏はやっぱりただごとじゃない雰囲気を纏っていて興味深いです。
聴くたびに唖然とします。

投稿者 森本 : 2007年04月09日 16:20

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