世の中の右と左そしてうしろ 暗がりで笑う人をみたときや 銀行のATMで現金を取り忘れたときに なんとなく読むブログ
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何回聴いたかわからない。おそらくタコ(山崎春美)の影響が無ければ、私は音楽など聴き続けていなかったかもしれない。本作とセカンド12インチは何回か手放したが、何回も買い戻した。音飛びしまくって売り飛ばした後に、ものすごく状態の良い盤を入手したので、現在持っている盤が私の墓まで連れて行くレコードとなるだろう。ブートのCDは聴いていない。
最初に山崎春美という人物を知ったのは『ヘブン』だったか。限りなく分裂症に近い文体は、簡単に狂気と呼ぶにはもったいない魅力に満ち溢れていた。その後『遊』の「は組」という特集で彼の才能が本物であることを改めて痛感。そして『宝島』誌上での「反渋谷陽一キャンペーン」によって、私の中での山崎春美は神格化されてしまった。
ガセネタのアルバムもいいが、本作での山崎春美のイメージの豊かさは特筆すべきものがある。参加しているゲストも、坂本教授、町蔵、佐藤薫、ロリ順、工藤冬里、スターリン、宮沢正一、香山リカ、篠田昌巳、大里俊晴、成田宗弘などと豪華過ぎる面子。ジャケは花輪和一、曲間の怪しいアナウンスは細川周平で、発音があきらかに間違っているのはご愛嬌。
これだけの豪華面子を山崎春美という天才がまとめているのだから、アルバムの完成度は聴かずともわかるであろう。音楽的にはセカンドの方が抜きん出ているが、山崎春美初体験ならば本作から聴くことをおすすめする。ただ、オリジナル盤もブートCDも今は異常に高いので、どうしても欲しい、という場合以外は手をださない方がいい。
タコの持っていた感覚は、分裂症気味のシャーマニズムである。サイケデリックな要因は単純に薬物による作用なのだが、本質の部分では古代の儀式的背景が横たわっているように思える。そこに山崎氏のピュアな狂気が土足で踏み込んでくるために、景色はつんのめって七色になる。音楽表現として極北なのではなく、新しい感覚としてのカルチャーだからこそ、タコの音楽は現在でも生々しく聴こえるのだ。
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いやはやブログ、サボりすぎました(汗)
タコ
ライブ音源は持ってるんですが、オリジナルはもちろんブートも聞いたことないです
町蔵とかゲストってだけで高いわけじゃないんですね?
投稿者 よし : 2005年07月08日 17:01
お久しぶりです!
タコはピナコテカという小さなレーベルが出していて、そんなに多くプレスしていない上に、ゲストが多すぎるため権利の問題で再発できないという状況が重なり、プレミアがついてしまっています。
町蔵のボーカルは実はここでの「きらら」がベストかもしれません。凶悪です。
投稿者 森本 : 2005年07月08日 18:06