ナース・ウィズ・ウーンド

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  正直、個人的に最も影響を受けたのがこのユニットである。というより、スティーブン・スティプルトンのセンスや技術には今でも脱帽する。彼がいなかったら現在の音響系とよばれる音楽も無かったのではないだろうか? 
  ヒップホップより先にナース・ウィズ・ウーンドに出会ってしまったが故に、サンプリングよりもテープ・コラージュに魅力を感じた。そして、ブリジット・フォンテーヌのレコードの意外な使用方法や、DJプレイの何たるかを徹底的に見せ付けられ、少年だった僕はただただスピーカーの前で呆然とするしか無かった。
  NWWが構築したのは、極端なフェティシズムと、ドリフのコントばりに破壊的なインパクトをあわせ持った混沌である。ただし、NWWの音楽は自分の気に入った音を、ただ素直にループさせたりカットアップしてるだけ。ただそれだけなのであるが、そこに組み込まれた尋常じゃない情念めいた気配が不気味に作用し、レコードである、又は音楽であるという線引きを不能にしてしまっているのだ。
  このような形態の音を言語的に認識して語ったり理解するのはどうかと思う。カテゴリ的にはノイズ・アバンギャルドのコーナーに置かれることが多いが、実のところはノイズでもなんでもない。そんな、ただひたすら不可思議な曼陀羅絵図を描き続けるNWWの世界を、より多くの人々が聴きこむような柔軟な時代になったらいいと思う。純粋にリスペクト。

投稿者:asidru 2004年12月17日 14:56

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