片岡理 「寒いおでんは背中から。」CD盤

寒いおでんは背.jpg

さむいおでん.jpg

 捻れたような日常内の白昼夢をイメージしがちであるが、このCD盤でのアプローチはアナログの時よりも真摯で美しい狂気に彩られている。片岡氏の中に息を潜めて存在していた現実離れした現実が、よりキレイな形で表出している。
 ラストの「埒開かずの海」での混沌は特に深い。中途半端な飾り物の狂気が多い中で、こうした純度の高い本物の狂気を目の当たりにすると、思わず駆け出したくなるような恐怖におそわれる。
 日本の音楽史を見渡しても、ここまで異質な感覚を保有したものは他に無い。
 もちろん、ジャンルや時代性で語られるべき性質のものではないし、何かと比較できるものでもない。これはあまりにもストレートに歪曲しているからだ。
 狂気的なものと毅然とした態度で向き合うというのはかなり辛いことであるが、具体的なものを普遍化しようとするような昨今の歌謡曲の悪辣さに比べたら、ここにある狂気は何事にもたじろがない強い意志に基づいて構築されているために偉大であると感じられる。
 このCDを聴くと、思考することの無力さを徹底的に突きつけられたような気がする。考えを放棄させるのではなく、考えること自体を封じ込められてしまう。
 このCDはジャケットも素晴らしいし、内容もアナログ盤とは違う録音なので、片岡氏の狂気に惚れ込んでしまった者ならば一度は聴いておきたいものだ。入手は困難であると思うが、再発希望の声があれば何とかして出してみたいものである。
 ここにあるスラッヂのあのギター音とはまた違った狂い方の楽曲が、片岡氏の本質部分を覗き見ることができるものなのかどうかは不明であるが…。
 一言でいうなら、恐ろしいまでの傑作である。

投稿者:asidru 2006年03月18日 16:45

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コメント: 片岡理 「寒いおでんは背中から。」CD盤

再発希望の声ならここにありますぜっ!

投稿者 Y : 2006年03月18日 23:53

これはかなり重要な作品なので、できればちゃんとした形で復刻されるべきだと思います。
何度聴いても凄まじいです。

投稿者 森本 : 2006年03月19日 01:10

私は片岡氏と「いみていしょんず」をやっていたものです。1979~1982頃です。スラッヂ以前ですね。当時は片岡氏はBorG&Vo、わたしはG&Keyでした。当時からこの2曲は演奏していましが、「おでん」はこのアレンジとは全く違います。片岡氏がG、私がオルガンでベースレスでした。1979にはフリクションの前座もやりました。観客が怖かったです。

投稿者 ナカシマ : 2006年08月20日 17:05

ナカシマさん初めまして片岡氏とスラッヂをやってた
スガワラです。「いみていしょんず」は名前と活動してた
ことは聞いてましたがなにぶん片岡氏はその辺は寡黙でした。
当時の2人組みでの「おでん」とか聞いてみたいです。
ちなみにアナログ録音の「おでん」では自分はギターで録音に
参加しました。フリクションの話は初耳でした。確かに客の
テンション高そうですもんね。では。

投稿者 スガワラ : 2006年08月20日 21:25

ナカシマ様
はじめまして!
フリクションの前座!
いやぁ、知りませんでした。。
いみていしょんずの楽曲は他にもいろいろあったのでしょうか?
そして、当時の音源は現存していたりしますか?
片岡氏やスラッヂ周辺からは常に何かが出てきます。それを拾い集めて喜ぶのが僕だったりします(笑)。

投稿者 森本 : 2006年08月21日 06:50

菅原さんご無沙汰です。何度も会ってますよ。
POPS研ですし、新宿や下北のときもいってます。
ドラムの方とは仕事でもおつきあいが有りました。
フリクションは1979.11.11です。テープ有ります。
「いみていしょんず」のヒット曲?はやはり「気ままな西船橋」です。
ほかのバンドにコピーされましたし。

投稿者 ナカシマ : 2006年08月21日 23:48

>ナカシマさん
「気ままな西船橋」!
聴いてみたいものです。。
ほかのバンドというのは、けっこう有名どころですか?

投稿者 森本 : 2006年08月22日 21:04

ナカシマさんそれは失礼しました。アホなもんで
あちこちに忘れ物が多いんで。「気ままな西船橋」は
気になるなあ。

実は今回ココのブログのお陰で森本さんの手により
スラッヂの昔の未発表ライブ音源がCD化されます。
秋頃には出ます。宜しかったら聞いてみてください。
凄い世の中になりました。

今回の件で久々に坂本氏とも電話で話しました。スラッヂに
は興味があまり無いのか特にコメント無しでしたが(笑)。

投稿者 菅原 : 2006年08月22日 23:41

> ナカシマ様
新宿や下北ではベースやってたので、お会いしてるかもです。
片岡氏にその日のフリクションは聴かせてもらいましたが、いみていしょんずは残念ながら未聴です。
その辺寡黙というか奥ゆかしいというか(笑)
坂本氏とやっていたのとはまた別バンドということなんでしょうか。

> 森本さん
だんだん片岡大全ができそうな勢いになってきましたね。

投稿者 片山 : 2006年08月23日 00:21

なんか桜画報大全みたいですが。。。

投稿者 菅原 : 2006年08月23日 00:45

近年大全と言えばタコ大全(笑)
櫻画報大全を知る年代の人はこちらでは少数派なんでは。。

投稿者 片山 : 2006年08月23日 01:08

いや、ココは年代を超越してるはずなんで。。
と思いまして書きました。

投稿者 菅原 : 2006年08月23日 01:39

ここは赤瀬川原平ファンも見てる筈なんでみんな知ってますよ♪
タコ大全(CDのもの)は残念ながら持ってないんです。。
ピー音がどういう風に入るのかちょっと気になる昨今。。

投稿者 森本 : 2006年08月23日 08:07

「おでん」は当時テニスサーフィン大学生になれなかった人たちへの応援歌です。「西船」はもっとポップですけど後ろ向きな歌。二人が当時好きだったのは寺山と傷天です。音源はいろいろ有りますよ。片岡さんの了解が有れば出せますが。何しろ最近連絡がとれないもので。
坂本さんには色々アドバイスは受けましたが、一緒に演奏したことはないと思います。

投稿者 ナカシマ : 2006年09月01日 23:40

「西船」いつか聴いてみたいです。
いみていしょんず気になりますなぁ。。
久しぶりに「寒いおでん」聴いてみたらやっぱり凄まじかったです。片岡さんは本当に凄い。。

投稿者 森本 : 2006年09月05日 11:25

久々にみて情報が増えてる!ので初カキコします。
桜画報大全もタコ大全も持ってますよ。
ピー音の入り方は何分微妙だと思います。
恥ずかしながらオリジナル未聴なので比較ができない...。

いみていしょんず、気になる...。

投稿者 notan : 2006年09月28日 22:05

>notan様
いらっしゃいませ!
いみていしょんず、まだまだ謎が深そうです。

タコ大全、この前また中古屋でみかけましたが、オリジナル盤より高かったです(笑)。

投稿者 森本 : 2006年09月30日 22:59

この板、おかりします。“かめん”ことナカシマさん!元気ですか? あなたに頂いたフリクションとのライブテープが見当たらず泣いています。「気ままな西船橋」のフレーズが忘れられず、ググッたら、ここにたどり着きました。また、お話したいですね。

投稿者 ATParmy : 2006年10月20日 20:05

>ATParmyさん
こんにちは! ナカシマさんとお知り合いの方ですか?
よろしくお願いします。。いみていしょんずの情報などもありましたらどうぞ。

投稿者 森本 : 2006年10月20日 22:08

川を越えたらそこはなおざり
浦安行徳原木西船ーと始まる気ままな西船橋
皆さんにお聞かせしたいですね。
ATParmyさん、もう少しヒント下さい。

投稿者 ナカシマ : 2006年10月21日 13:22

ナカシマさん、お返事ありがとうございます。すみません、苗字が珍しいので本名を書きたくないものですから、、、当時、狛江市に住んでおりまして、さすがに千葉まで足を運べませんでした。高校時代は一緒に、なんとPurpleなんぞやっちゃいましたよね(赤面!)これでわかりますよね。ライブテープぜひまたダビングさせていただけたら、、、最近、CD再発ムーブにのって、あの当時(大学時代)の音をメインに聞いています。この前のロック画報の特集がラリーズだったんで、狂気乱舞してしまいました。トクゾウで今年見たフリクションもよかったですよ!!

投稿者 ATParmy : 2006年10月23日 13:53

追記です。
“白色レグホン”“馬(?)”“琴桜”なんてのも、いみていしょんずはよかったですよ。確か地引さんがライブのコメントくれたんですよね。あ~なつかしい!!

投稿者 ATParmy : 2006年10月23日 14:17

ATParmyさん、お久しぶりですね。25年ぶりでしょうか。
白色レグホンや10年目の馬は初期の曲ですが、インパクトがあったようで他の人からもおほめいただいてます。
後期の曲は埒開かずの海のようなちょっとイーノみたいな感じにだんだんなりました。
連絡いただけば、CDで送りますよ。「このゆびとまれ」で探してください。
森本様、なんか掲示板を私物化しているようですみません。

投稿者 ナカシマ : 2006年10月23日 21:16

いえいえ、どんどん書き込んでください(笑)。
「白色レグホン」「10年目の馬」。。
物凄い世界ですね。。。

投稿者 森本 : 2006年10月23日 21:20

ATParmyさんからの要望もあり、久しぶりにイミテイションズのテープを何年ぶりかに色々聴きました。
結構いいですね。我ながら。今やれと言われてもできませんが。
スラッヂのCD化に刺激され、ぜひ皆さんにもイミテイションズも聞いてもらいたくなってきました。
スラッヂの皆さん片岡さんと連絡を取れる方はいらっしゃいますか?
ドラムの人とはいまも連絡できます。

投稿者 ナカシマ : 2006年11月04日 20:33

>ナカシマさん
はい、片岡氏にはなんとか連絡はとれますが、確実な返事があるかどうかはわかりません。。
イミテイションズ、もし世に出たらすごいことです。。。

投稿者 森本 : 2006年11月04日 21:29

森本様
よろしくおねがいします。ちょっと心配していました。
「ロックンロールみなしご」「琴桜」等いま聞いてもよかったです。
できれば皆さんに聞いてもらいたいと思います。

投稿者 ナカシマ : 2006年11月05日 21:39

>ナカシマ様

のちほどメールお送りします!
私の方に音源送ってくだされば片岡氏までお届けいたします!

投稿者 森本 : 2006年11月06日 16:21

やはり片岡さんの了解が得られてから、音源を送りたいと思います。

投稿者 ナカシマ : 2006年12月05日 21:15

>ナカシマ様
了解しました!
では片岡さんに伝えておきます!

投稿者 森本 : 2006年12月06日 23:00

 今日(というか昨日)坂本君がCDを持ってきてくれました.未聴曲もあり,ライブでの弾けぶりも十分堪能させて頂きました.ともかく懐かしいです.

 坂本君は決してスラッジに興味がないわけではありません.インターネットをやらないので情報に疎い感がありますが.

 自分の記憶では「寒いおでん」のアナログ版は1982年の12月の下旬に目黒のマッド・スタジオで片岡君と坂本君の二人で録音されたように思います(現場にはいませんでしたが).

 坂本君はシンセと,あとドクター・リズムのダイヤルをぐるぐるんまわしてリズムトラックを作ったとか.

 もう少し後になって「東京の新聞」というシングルももらいました.

投稿者 ム`川わにじ : 2007年01月06日 03:04

>ム`川わにじ様
坂本さんはミュージシャンとしても素晴らしい方ですよね。お会いしたことがないので残念なのですが、音は聴いております。

>ドクター・リズムのダイヤルをぐるぐるんまわしてリズムトラックを作った

さすがですね。。あれはやはりドクター・リズムの音だったんですか!!

東京の新聞もいいシングルですよね~。

投稿者 森本 : 2007年01月06日 18:49

坂本さんはキーボードが上手でライブのときは
反対側からブルース弾いたりしてましたね。
No NewYorkとか勧められました。

投稿者 ナカシマ : 2007年01月11日 22:00

>ナカシマ様
坂本さん、いまだに現役のミュージシャンですよね。素晴らしいセンスだと思います。
昔のEPを聴いても、ちょっと早すぎた感覚な気がするぐらいです。

投稿者 森本 : 2007年01月12日 15:26

>>森本 様

 ご返事ありがとうございます.会った次の日に電話で尋ねたら,以前スラッジの音源などを編集してCDシングルにしたときに特に反応がなかったので,今回の騒ぎがイマイチピンと来ないといった話でした.

投稿者 ム`川わにじ : 2007年01月17日 23:42

> ム`川わにじ様
以前坂本さんが製作したシングルは今回のCDとは全くの別内容でして、未発表のスタジオテイクなんかが入ったものだと思います。
ちょっとミックスも独特で、凝った作りになっていたのは知っています。さすが坂本さん、といった感じです(笑)。

投稿者 森本 : 2007年01月18日 13:22

片岡さんが亡くなったことをたった今知りました。
大変残念です。自分にできることがなかったのか無念でなりません。
ご冥福をお祈りします。

投稿者 ナカシマ : 2007年01月18日 21:41

>>ナカシマ 様

 本当ですか? 最後にお会いしたのは1990年の3月3日なのでもうずいぶん昔になります.片岡さんが仕事をやめた直後だったかな.その後東京を遠く離れてしまっためお会いする機会はありませんでした.

 故郷の高知に帰って療養中と先日坂本君からききました.謹んでご冥福をお祈り申し上げます.

投稿者 ム`川わにじ : 2007年01月18日 22:47

片岡さん、亡くなりました。
正確に書くと、昨年の10月13日に亡くなっていたのが今年になって分かりました。
素晴らしい才能だったため、非常に残念ではありますが、片岡さんのその世界を後世へ残していけたら、と考えています。

ご冥福をお祈りします。

投稿者 森本 : 2007年01月19日 13:32

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