宮沢正一 「キリストは馬小屋で生まれた」

キリストは馬小屋で生まれた.jpg

 決定までのプロセスに特定の意思が介入してしまうと、それは本当の意味で決定などしていないと言える。意思は介入しただけであるが、こういう場合においては本質となる。
 キリストがどこで生まれ、どこで死んだか。
 それは、その問題を考える人間の数だけの解答が用意されているのだ。
 だから、竹内文書と戸来村の関係およびキリストが日本で死んでいたという説を目の前に提示されたところで「へぇ」とか「ふーん」としか答えられない。竹内巨麿の作り出した妄想だ、といって糾弾してもいいし、キリストの墓参りに青森県へ旅立つのも不正解ではないだろう。
 宮沢正一のうたは、メルヘンと現実を同質のものとして溶解させてしまう。このソノシートのA面「キリストは馬小屋で生まれた」にしろ、「ぼく」というのはどういう人物なのか? ということに関しての余計な説明は一切していない。この隠蔽の技術によって、奇妙な恐怖に似た感覚が聴き手を襲う。
 アシッドフォーク、と一言で済ませてしまうには、あまりにも深すぎる内容なので、機会があれば一聴してほしい。再発されたCDも現在では廃盤なのだが、根気良く中古店をまわったとしてもこれは聴くべき、そして聴かれるべき一枚である。
 

投稿者:asidru 2005年07月03日 05:01

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コメント: 宮沢正一 「キリストは馬小屋で生まれた」

友部正人さんの
こわれてしまった一日
を思い出しました

投稿者 Y : 2005年07月06日 21:10

渋谷のアピアに友部正人氏や宮沢正一氏が毎日のように出演していた頃のライヴを一度でいいから観たかったです。
この曲、たまの知久氏がカバーしてたっけ。
みんなに愛されている名曲です。

投稿者 森本 : 2005年07月06日 21:22

宮沢正一かぁ..... 彼が音楽をやめてしまったのは悲しいことですね。今は、缶詰工場かなんかの社長さんだとか。よくよく考えると、山崎春美にしろ、浜野純、横山SAKEVI... 日本のすばらしい人材が姿をみせなくなったのは本当に悲しいですね。町蔵をも田口トモロウも音楽から離れたし。ミチロウを手本にみんな復活してほしい。
森本さんはラビッツはお好きですか?ラビッツのサイケに匹敵する日本のバンドがいたら教えていただけないですか?ラリーズ以外で。

投稿者 GASS : 2006年10月11日 21:45

ラビッツに匹敵するですか!? うーん無いもんですねぇ。
やっぱりラビッツはずば抜けてますからねぇ。。
宮沢氏の一日だけ復活した日を見逃したのが辛すぎます。

投稿者 森本 : 2006年10月12日 18:27

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