世の中の右と左そしてうしろ 暗がりで笑う人をみたときや 銀行のATMで現金を取り忘れたときに なんとなく読むブログ
« フレッシュ「おきまりの午後」 | メイン | コクシネル »
ODBが死んだ。
ウータンの中でも飛びぬけて危ないラップをする天才だったODB。まるで酔っ払いが地下鉄のカベに文句を言っているような、極限のぼやきラップをかましてくれた彼が、つい先月亡くなった。
オール・ダーティ・バスタードが好きだ、というヒップホップファンが少ないのは、彼のラップがあまりにも自然体で、飾りっ気の無い素朴な性質のものであったからだと思う。政治や世の中への不満をぶつけるわけでも無く、愛だの恋だのをわめくでも無く、ODBは自分と対話し、それをマイクを通じて拡大してみせただけだった。
トラックも奇怪だし、ラップが意味不明の呂律が回っていない状態なのだから、一般的な支持を得られなかったのにも頷けるが、個人的にODBの奇妙なスタイルが好きだったし、死んでしまうにはあまりにも早過ぎた感じがしてならない。
これからODBの追悼盤とかがかなり出ると推測されるが、それらは全部まやかしだ。彼のラップは死とともに終わったのであるし、これ以上掘り返してみても新しい発見など期待できないであろう。僕らはもうあの奇妙なラッパーの新作を二度と聴けないのである。それは重大な喪失であったと思う。
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.asiandrug.jp/mt-tb.cgi/162