ODBの死

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 ODBが死んだ。
 ウータンの中でも飛びぬけて危ないラップをする天才だったODB。まるで酔っ払いが地下鉄のカベに文句を言っているような、極限のぼやきラップをかましてくれた彼が、つい先月亡くなった。
 オール・ダーティ・バスタードが好きだ、というヒップホップファンが少ないのは、彼のラップがあまりにも自然体で、飾りっ気の無い素朴な性質のものであったからだと思う。政治や世の中への不満をぶつけるわけでも無く、愛だの恋だのをわめくでも無く、ODBは自分と対話し、それをマイクを通じて拡大してみせただけだった。
 トラックも奇怪だし、ラップが意味不明の呂律が回っていない状態なのだから、一般的な支持を得られなかったのにも頷けるが、個人的にODBの奇妙なスタイルが好きだったし、死んでしまうにはあまりにも早過ぎた感じがしてならない。
 これからODBの追悼盤とかがかなり出ると推測されるが、それらは全部まやかしだ。彼のラップは死とともに終わったのであるし、これ以上掘り返してみても新しい発見など期待できないであろう。僕らはもうあの奇妙なラッパーの新作を二度と聴けないのである。それは重大な喪失であったと思う。

投稿者:asidru 2004年12月21日 13:17

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