世の中の右と左そしてうしろ 暗がりで笑う人をみたときや 銀行のATMで現金を取り忘れたときに なんとなく読むブログ
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ある種の高揚感と物語的な進行がうまく比例していた場合、情緒の欠落した表現であってもそれは偉大なる芸術として成立する。人間性や立場は関係ない。フェティシズム的な視点から脱却し、全体から感銘を受けることができる対象を音楽という形態に求めるのならば、このアルバムは避けて通れない門である。
スラッグが詩人だろうとそうでなかろうと、アトモスフィアの開放的な側面というのは変わらずに開示されている。ここには、素晴らしい「雰囲気」が詰まっているし、それを否定することなどできる筈もない。本物のヒップホップを白人がやったって違和感は無い。ライヴでニルヴァーナの曲をカヴァーしてみせたって、スラッグという男の価値観は揺るがないのである。アトモスフィアは束縛されず、いつまでもストレートに保持している感情全てをむき出しにしてマイクに叩きつける。
現在ではなぜかエピタフに移籍するなど奇妙な動きを見せていたが、何をやっていてもスラッグという存在は変わらずそこにある。次は何をしてくれるのか、そんな期待を抱かせてくれるのも、アトモスフィアの良いところで、今年の年越しはこれでも聴きながら過ごそうと思う。
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